あるライターの記事を読んだホリエモンこと堀江貴文氏。そこから自身が編集長を務める新雑誌の基本体裁を思いついた。

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 最近、ネット上で話題になった記事に「ウェブライターよ。なぜ君たちはこれほど文章がヘタなのか?」というのがある。ライターの山田ゴメスさんが書いた文章だ。

 いかにウェブ専業のライターのスキルが低いかを語っていて、紙媒体中心のライターにも今ならウェブ進出のチャンスがあるという内容なのだが、この内容がものすごく後ろ向きな印象なのだ。

 詳しい内容は記事のタイトルをインターネットで検索してもらえば読むことができるので、ぜひ読んでほしい。とにかく出版業界の不景気ネタを列挙している。例えば、「またギャラを叩かれた」だの「校了で終電を逃してもタクシー代が出ない」だの「カメラマンを付けてくれないからライターみずからデジカメで撮影して取材相手に嫌な顔をされた」だの「ロケ弁が叙々苑のカルビ弁当からコンビニ弁当になった」だのと突っ込みどころ満載で、今の時代に何を言っているんだろうって感じ。

 さらに、ウェブに書かれている文章は、「句読点の打ち方のセンスがない」だの、「意味のない改行や強調文字が多い」だの、「すぐに修正できるゆえに不注意な誤字が多い」だのと言いたい放題なわけだ。

 例えば私は、このように紙媒体にも寄稿しているし、ウェブにも毎日のように文章を書いている。メルマガの原稿は、ジャストライトという校正ソフトを使ったり、ダブルチェックをしたりしていて、かなり誤字脱字は少ない。ウェブの良いところはいつでも修正ができる点で、表面上のミスは原稿の本質的な価値には影響しない。

 むしろ内容勝負ができているかどうかのほうが重要だろう。内容ではなく表面上のミスで優劣を判断しているようでは、単に与えられた仕事をこなしているだけの思考停止紙媒体ライターの戯言と言われても仕方ないだろう。

 しかもこの記事の捨て台詞がこうだ。「ウェブでしか書いてない人は、決められた文字数のなかで原稿をまとめる訓練をしていない」。この人は、ツイッターが140文字しか書けないことを知らないのだろうか。ウェブで文章を書いている人の多くはツイッターをやっているはずだ。あの140文字で表現するテクニックは、制限された文字数の中で自分の伝えたいことを書くためのスキルを磨くのには最適だ。

 そもそも紙媒体の1ページという基本単位はスマホ全盛の現在、長すぎる。はっきり言って書いてても疲れるし、読むほうも疲れる。「この連載のように長い文章だったら誰だって文字数制限内にまとめられるわ」と、山田ゴメスさんに言ってあげたい。大したスキルじゃない。

 山田ゴメスさんの記事から、紙媒体を作るときのヒントを得た。対談記事を除いて、400~800文字プラス、写真かマンガ、イラストという体裁にしようかと考えている。まだ編集サイドには一言も言っていないけど、スマホ時代はやっぱり1~2画面程度のスクロールでないと読む気が失せると思うのだ。そういう仮説に従って動いていこうと思う。

週刊朝日  2014年4月4日号