日本では真面目で温厚なイメージが強かっただけに…… (c)朝日新聞社 @@写禁
日本では真面目で温厚なイメージが強かっただけに…… (c)朝日新聞社 @@写禁

 離婚調停中の妻への暴行と監禁の容疑で米国捜査当局に逮捕された、プロ野球東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン外野手(29)。1月12日(日本時間13日)、バレンティンはカルラ夫人が暮らすフロリダ州マイアミの自宅に出向いたが、入室を断られ、窓から侵入。逃げるカルラ夫人の腕をつかむなどして、寝室に閉じ込めたとされる。

 その後、5万ドル(約520万円)を裁判所に支払って保釈された。1月16日のマイアミでの会見でバレンティンは「自分の失敗だ。家族やチーム、日本のファンに謝りたい。できれば日本で野球をするチャンスを与えてほしい」と語った。

 昨季は王貞治氏を5本も上回るシーズン60本塁打の新記録を残した男だけに、ファンの衝撃は大きい。

 2月1日からは春季キャンプが始まる。ヤクルト球団はキャンプ当初からの参加を望み、バレンティン自身も1月24日の出廷時に、日本への出国が特別許可されるのを希望しているようだが……。

 日米両方の資格を持つ国際弁護士の牧野和夫氏に、見解を求めた。

「2月2日に予定される罪状認否で罪を認めた場合には、比較的軽い刑で事件が終結する可能性があります。しかし、本人は『事実関係を争う』と言っていますので、正式な裁判が行われて、解決が長引く恐れもあります。裁判所による保釈中の出国可否判断や今後の裁判日程にもよりますが、日本への出国が許可されないまま、開幕を迎える可能性はあるでしょう」

 バレンティンの夫婦仲を取材に渡米した矢先、事件現場に居合わせたジャーナリストの三山喬氏は語る。

「二人のやり取りは荒々しく、深刻なものでした。後日、カルラ夫人がテレビカメラの前でバレンティンをかばう発言をしていましたが、戸惑いを感じます」

 本人の希望とは裏腹に、社会の目は厳しい。バレンティンにとっては、予断を許さない状況が続く。

 野球解説者の江本孟紀氏も苦言を呈する。

「日本で成功して大金を手にしたことで、女性にモテだした末の家庭内不和でしょう。球団にビシッと叱れるアドバイザーがいなかったことが残念です。ヤクルトは甘やかしすぎました」

 現在、日本での話題は、バレンティンの来日時期に集中している。しかし、今回は被害者が存在するDV事件。野球のプレーどうこうは二の次だ。

週刊朝日 2014年1月31日号