人気漫画「ドラえもん」で描かれているひみつ道具たち。数々のユニークな道具の中には、現在の科学技術で近づいてきたものもある。
「ドラえもん」には、夢に関する道具も数多く登場する。「ゆめグラス」もその一つ。眼鏡のようにかけると、寝ている他人の夢をのぞき見ることができるというものだ。
ちょっと信じがたいが、これが現実になるような研究が進んでいる。
米カリフォルニア大学バークリー校の西本伸志研究員らのチームは、人間の脳の視覚活動をデジタルな動画として再現できるシステムを開発した。脳の活動状態をリアルタイムで観察できる「fMRI(機能的磁気共鳴断層撮影)」という機械を使い、脳の中の映像を再現している。
どのようにしてのぞき見るのか。
まず被験者にさまざまな動画を見せて、どのような映像を見ると脳のどこが活動するかをデータ化する。これを基に、映像を見ている人の脳の活動を解析し、コンピューター上で、その映像を再構成するという。
発表された映像を見ると、ややぼんやりしているものの、被験者が見ている色彩はもちろん、人や鳥などの姿を判別できる程度の画像が得られているというから驚きだ。いずれ、他人の夢を見ることができるかもしれない。
下手をすれば究極のプライバシー侵害にもなりかねない技術だけれど、重い脳障害などで言葉が話せない人の気持ちを知るためのシステムなどとして、応用が期待されている。
頭で考えるだけで、絵や映像が作れる時代がやってくるのかもしれない。
※週刊朝日 2014年1月17日号