「現代人がイメージする土下座、正座をしておでこを地面につける動作で謝罪の意を表す習慣が日本で始まったのは、昭和初期からです。一般庶民に定着したのは戦後のことだと思われます」(パオロ氏)

 そのきっかけを、同氏は大正・昭和初期の人気小説『大菩薩峠』や『丹下左膳』などに土下座シーンが頻出したことだと分析する。近年では、1990年代前半のドラマでなぜか吉田栄作や石田純一といった主演俳優が土下座で誠意を見せるシーンが頻発したそう。

「普段軽そうな男が土下座で謝る姿がトレンディーだったのかもしれませんが、一方で、土下座のカジュアル化が極まってしまった感も否めません。『半沢直樹』は毎週、楽しみに見てますが、土下座のシーンだけは、今更という違和感、時代錯誤な感じをおぼえました。漫画の『どげせん』などを見てもわかりますが、いまや土下座での謝罪というのは、ある種のギャグになっちゃってますから、屈辱の表現として土下座は有効なのか、疑問ですね」(同)

 今の人たちは、土下座をされても戸惑うか、ひくだけじゃないかとも指摘する。

週刊朝日  2013年9月20日号