企業はまだ設備投資に慎重 (c)朝日新聞社 @@写禁
企業はまだ設備投資に慎重 (c)朝日新聞社 @@写禁

 日本経済の「体温」を示す日経平均株価が、いまや1万3700円を割り込む状況のなか、消費税率を引き上げるのは「良薬」なのか、「毒薬」なのか。専門家の間でも意見は分かれる。

 消費増税によって景気が悪化すれば、それは中小企業の経営をも直撃する。消費税が3%から現行の5%に引き上げられた1997年4月、企業の倒産件数は前年同月よりも約20%増加した。

「97年は景気が右肩下がりだった。消費増税と企業倒産は直接リンクするものではないが、景気が不安定な時期の増税は企業倒産を後押しする」(東京商工リサーチ取締役・友田信男氏)

 さらに今年3月末で、中小企業の資金調達を支援する中小企業金融円滑化法の期限が切れた。

「企業倒産か、廃業かという困難な経営状態に陥っている中小企業の数は、少なくとも5万社はある」(同)

 日本の企業数の99.7%、雇用の約7割を占めるなど、日本経済の根底を支える中小企業がばたばたと倒産するような事態になれば、個人の消費支出は落ち、設備投資も低迷。不況へと逆戻りする入り口になると友田氏は危惧するのだ。

 こうしたことが積もり積もれば、消費増税はしたものの、ほかの主な税収が減るという皮肉な結果にもつながりかねない。97年の増税時がそうだった。国の税収は97年度、53兆9千億円だったが、その後の不況で所得税や法人税の税収が落ち込み、いまに至ってもこの金額を上回ったことはないのだ。

週刊朝日 2013年9月6日号