華麗なる一族敗れる――。東京選挙区からみんなの党公認で立候補した写真家の桐島ローランド氏(45)は、当選ラインを約29万票下回る完敗。選挙区の当落が報じられると、選挙事務所に姿を見せ、「すべて自分の力不足」と支援者に頭を下げた。母は作家の桐島洋子さん(76)、姉はモデルのかれんさん(48)に、エッセイストのノエルさん(47)というセレブ一家。加えて本人は、女優・江角マキコの元夫で、ハーフで長身のイケメンときている。家族の仲が良いことでも知られ、母の洋子さんにとっても今回の選挙戦は“熱い夏”だった。みんなの党の幹部はこう話す。

「立候補が決まった後、洋子さんが選挙事務所にやって来て、『親バカかもしれないが、やっぱり息子が心配。子供のころから、あの子は食事のときによく政治の話をして、あんた大きくなったら政治家になんなさいと言っていた。今となればそんなこと言わなきゃよかったと思っています』と話してました。『息子はマザコンとか言われるけどそうじゃない』と言って笑いも取ってましたね」

 陰に日なたに、母は息子をサポート。公示日には選挙カーの上にも立ち、「こう見えても熱い男です!」などとアピール。選挙戦終盤には、JR高田馬場駅前での街頭演説に運転手付きの真っ赤な外車で駆けつけ、助手席から息子の姿をひそかに見守っていた。そして演説が終わると、車から降りて人混みの中でビラ配り。なんて献身的な親バカっぷり!

 そんな家族の支援に加え、「桐島」の知名度も十分だったはず……。はたして何が足りなかったのか。陣営関係者はこう話す。「肝心のローランドの演説がいまひとつでした。横浜生まれですが、海外生活が長いせいか日本語がたどたどしい。電力自由化や英語教育の改革を訴えたが、うまく伝えきれなかった」。

 

 そのためか、街頭演説では本人より応援弁士が長く話すこともしばしば。そもそも人前に出て話すことが得意ではないようで、選挙中は記者の前でも、「正直、毎日演説に行くのは怖いですよ」と、身長186センチの体に似合わぬ弱音を吐いていた。

 6月の都議選では7議席を獲得し、存在感を示したみんなの党。それだけに首都決戦での敗北は痛い。ただ、党内にはローランド氏をかばう声もある。

「立候補が発表されたのは公示の約2週前。そこまで遅れたのは、渡辺喜美代表が最後の最後まで元経産官僚の古賀茂明さんの擁立にこだわっていたからです。結局固辞されて、慌ててローランドを立てた。準備期間が短すぎて支持が広がらず、周囲も士気が上がらなかった」(党幹部)

 初選挙の洗礼を受けた本人は、それでも前向きだ。敗戦の弁ではこうも語った。「今回は素晴らしい経験ができた。ぜひ3年後の国政選挙を目指したい」。

 雪辱を果たすには、家族の助けなど必要としないぐらいの気概が必要、かも。

週刊朝日 2013年8月2日号