様々なプラカードを掲げて脱原発と原発再稼働反対を訴える人々 (c)朝日新聞社 @@写禁
様々なプラカードを掲げて脱原発と原発再稼働反対を訴える人々 (c)朝日新聞社 @@写禁

 福島第一原発の事故から2度目の国政選挙となる参院選が、いよいよ始まる。安倍政権は国内では何が何でも核燃料サイクルの維持に走り、海外では原発を売り歩く。そんな方針に疑問を投げかける自民党1年生議員がいる。秋本真利(37)、勝俣孝明(37)、小倉将信(32)各衆院議員がトコトン本音を明かした。

――選挙区を歩いていると、原発問題について有権者の関心が低くなっている感じはしませんか。

秋本:世論調査を見ても、まだまだ高い数字が出ています。東北の復旧復興を語る中で避けて通れないテーマだし、「しっかり取り組んでくれよ」という思いが数字に表れている。ちゃんと受け止めて、議論していかないといけないと思っています。

勝俣:私の地元・静岡県には浜岡原発があります。何かあれば西からの風で、途端に選挙区である伊豆周辺の観光産業はだめになります。実際3.11後、海沿いのホテルや旅館は大量にキャンセルが出ました。農産品も風評被害を受けたんです。だからまだまだ関心は高いですね。

小倉:選挙区に原発もないし、直接被災された方も少なかったので、だんだん関心の度合いは下がっていますね。原発より経済や社会保障、教育に関心が移ってきている感じはします。また、安倍政権が原発に対して若干前のめりだと憂慮する人もいれば、経済にとって原発は必要だと言う人もいる。半々ですね。

――前のめりという話が出ましたが、政権に返り咲いた自民党が、昔以上のパワーで原発政策を推し進めているように見えます。

秋本:いや、自民党議員みんなが原発の再稼働や輸出にまっしぐらというわけではないですよ。確かに「何が何でも再稼働しろ」「原子力規制委員会の判断にも政治的な圧力をかけろ」と言う人がいるような感じはしています。ですが、ごく一部ですよ。私は核燃料サイクル(※注1)について反対論を唱えていますので、逆の意味でマイノリティーですが、その中間にいる議員がいちばん多いと思いますね。

小倉:原発政策にはいろいろな矛盾を感じています。その代表例が「バックエンド」、つまり、使用済み核燃料の後始末の問題です。再び使えるように再処理するか、処分しても、費用は40年間で18.8兆円といわれます。この問題は、いつか崖に行きつくブレーキのない列車に乗っているようなものなんです。ほかにも原発の安全性や、福島第一原発の事故原因の究明、それと安全対策があまり議論されないまま、物事が進んでいる状況に違和感がありますね。

勝俣:調べていくと疑問に思うことがたくさん出てくるんです。例えば核大国のアメリカが核燃料サイクルから撤退しているのに、なぜ日本は続けようとしているのか。どう考えてもおかしいですよね。おかしいことをおかしいと党内で発言し、きちっと議論をすることが大事だと思っています。

※注1…核燃料を原発で一度だけ使用するのではなく、再処理工場でプルトニウムを抽出し、高速増殖炉などで再利用するサイクル。青森県六ケ所村の再処理工場は当初予定の3倍にあたる2.2兆円を投じても未完成。高速増殖炉のもんじゅは点検漏れなどのトラブル続きで少なくとも2050年まで完成しない。

週刊朝日 2013年7月12日号