「義足の私を見て」心のバリアフリーを目指す女性たち 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「義足の私を見て」心のバリアフリーを目指す女性たち

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 義足は、美しい。体の輪郭に完全に調和した人工の足を見たとき、誰もがそう感じるはずだ。

 義足の歴史は古く、すでに紀元前の古代エジプトに存在したとされる。現代では素材と技術の進歩で本物の足と区別がつかないまでになった。だが、義足ユーザーをモデルにした写真を取り続ける越智貴雄さん(34)は、こう話す。「日本は、建物などのハード面のバリアフリーは先進国と比べても進んでいます。でも、心のバリアフリーはまだまだで、義足ユーザーを見ると『かわいそうな人』と思う人が多い。実際には義足でもほとんどのことはできるし、困難を乗り越えて、人間として輝いている。写真を通じて、そのことを理解してもらえればうれしい」。

 東京都在住の村上清加さんは、そんな越智さんの思いに共感してモデルを引き受けた一人だ。村上さんは、日常生活でも義足の外装を外して、パイプの状態のまま外出することもある。「はじめて私を見た人は違和感を感じるかもしれません。でも、それは慣れていないだけ。同じような人を何人も見れば、義足の人を理解できると思う。だから、私を見て違和感があってもいいんです」。

 村上さんは今、陸上競技のランナーとして2016年に開催されるリオデジャネイロ・パラリンピックの出場を目標にしている。

「でも、私のように義足で街に出る人は、日本では少数派。義足を受け入れられない人や、周囲の人で外出に反対する人もいると思う。だから、義足でも楽しく生きていることを、いろんな人に知ってほしいですね」(村上さん)

 村上さんの義足を担当する鉄道弘済会・義肢装具サポートセンターの臼井二美男さん(57)も“見せる”ことが人々の意識を変えていくと考えている。臼井さんは、パラリンピックにも多数の選手を送り出したことでそれを実感してきた。「本当にその人に合った義足は、体と一体化して美しい。でも、それだけではありません。障害を負った人が、その義足で社会の一員として、はじめの一歩を踏み出す。すると、次は自分よりも他人を心配するようになる。そうして社会は少しずつ変わっていくはずです」。

 義足は“見せる”もの。その美しさは、人の心を変える。

週刊朝日 2013年6月21日号


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