男性の認知症予防「現役時代の肩書を捨てて街へ!」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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男性の認知症予防「現役時代の肩書を捨てて街へ!」

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 高齢者の増加により2020年には患者数が325万人まで増加するといわれる認知症。女性に多いアルツハイマー型、男性に多い脳血管型、レビー小体型に大別される。特に男性は定年後に発症するリスクが高いという。ボケを遠ざけるにはどうしたらいいのか。最強の処方せんを紹介する。

 男性は女性に比べ、アルツハイマー病の発症率が低い。中高年になって生殖機能がパタリと停止するわけではなく、寝たきりを招きかねない骨粗鬆症になる平均年齢も、女性より20年は遅い。それでも認知症のリスクを高める要素がある。

 そのひとつが、定年だ。

 特に、仕事一辺倒だった人は危ない。家族を顧みない、友人づきあいもしない、これといった趣味もない。そんな生活がボケにつながるのだ。

 米国カリフォルニア大学が、アルツハイマー病の七つの危険因子とその割合を調査したところ、「低学歴」19%、「喫煙」14%、「運動不足」13%、「うつ病」11%、「中年期の高血圧」5%、「中年期の肥満」2%、「糖尿病」2%だった。

 米国では低学歴のリスクが高いが、日本の場合、「立派な肩書」が落とし穴になりそうだ。認知症患者を30年以上診てきた金子クリニック(静岡)の金子満雄院長によると、企業の管理職や教員が離職後にボケた例が多かったという。

 ある企業の元社長は、「近所の馬鹿な老人達とはつきあえない」と家から出ず、外出も庭を歩くぐらいで認知症に。元校長も、人と会わずに書斎に閉じこもり、定年5年後には脳が6歳程度に後退し、息子の名前がわからなくなった。「息子も堅いタイプで、家族の団欒もなかった。職場で疎まれ、家で孤立していてはボケまっしぐらです」。

 金子院長は、現役時代の働き方として、計算や伝票整理などの決まったデスク作業より、外を動き回る営業職のほうがボケにくいとみる。ボケない人の特徴には、創意工夫が得意という面もあるという。「大事なのはコミュニケーションと右脳の活性化。どんな職種であろうと、感性は磨けます」。

 ひとつの提案は、趣味を持つこと。音楽を聴いたり、楽器を演奏したり、映画を楽しんだりなど、心に余裕を持ちたい。麻雀や囲碁などの対戦型ゲームはボケ予防効果を期待できる。

 浴風会病院(東京)の須貝佑一医師は、「早いうちから自分の居場所を確保しよう」と唱えている。「地域のボランティアやシルバーワークに参加するのもおすすめです」。

 女性は子育てなどで、若いうちから地域に溶け込む必要性に迫られる。一方で、男性は、定年までほとんど地域と関わりを持たなくても済んでしまう。「男性は社会システムに組み込まれ、役割を与えられると安心する。任務を遂行して評価されることでプライドを保つので、地域で何らかの役割を担えれば、そこが居場所になります」。

 現役時代の肩書を捨て、近所の人に気さくに挨拶するのもボケ予防の一歩になりそうだ。定年後に犬を飼えば、散歩中に声をかけてくれた人との交流が始まる可能性がある。

 60~70代の男性は脳血管性認知症が多いといわれるだけに、脳の病気を引き起こす原因となる高血圧や糖尿病を予防したい。

週刊朝日 2013年5月3・10日合併号


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