日経平均株価はついに、一時1万3200円台を突破。4年7カ月ぶりの高値圏に達した。個人投資家も盛り上がるが、なかでも65万円の元手を1800倍以上となる12億円まで増やした五月(ごがつ=ハンドルネーム)さんという人がいる。いったいどんな人なのか。意外な過去があった。

 高校を卒業した後、上京してゲーム制作の専門学校に入学。しかし、プログラマーになるためのハードルは高く、1年で中退した。東北の実家に戻った後は、自分の部屋でひたすらネットゲームにハマったという。

「俗に言う『ネトゲ廃人』ってやつですよ。当時は、オンラインゲームの黎明期で、ものすごくおもしろかったんです。寝ている時間以外はほとんどやっていましたね」(五月さん)

 ハマった期間は、なんと4年間。しかし、「そろそろ飽きたかな」と思っていたころ、たまたま見た昔のドラマが人生を大きく変えた。2002年にフジテレビ系列で放送された「ビッグマネー!」。人間の欲望が渦巻く株式市場を舞台にしたヒューマンドラマだ。

 
「ある老人の相場師がつぶれそうな会社を買い支えるシーンがあるんです。それがとても格好よく見えました。もう、しびれました。こんな世界があるんだ、と」(同)

 ドラマを見終わった次の日には、証券会社に口座を開設。そして、短期バイトや新聞配達でためた65万円を元手に株式投資を始めた。05年5月のことだ。

「投資資金を増やすため夜勤のバイトも始めました。夕方まで取引をして、その後、ちょっとだけ寝て、バイトに行ってました。フラフラだったけど、株を見るだけで楽しかった。ある意味、世界最大のオンラインゲームですよ」(同)

週刊朝日 ※2013年4月19日号