素顔は、まだあどけない少女 (c)朝日新聞社 @@写禁
素顔は、まだあどけない少女 (c)朝日新聞社 @@写禁

 イタリアで2月22日(日本時間23日)にあったノルディックスキー世界選手権の女子ジャンプ個人で、僅差の2位となった高梨沙羅(さら)選手(16)。惜しくも史上最年少の金メダルは逃したものの、本人は納得のジャンプで、「いい内容で終われてよかったです」と語った。その強さの秘密を「本人の意識と環境が大きい」と指摘するのは、アマチュアスポーツ担当のベテラン記者だ。

 まず、その“意識”。現在、北海道・旭川のグレースマウンテン・インターナショナルスクールに在学中の高梨だが、中学卒業からわずか4カ月後の昨年8月、高校卒業程度認定試験(旧大検)に一発合格した話は有名だ。そこに「明確な意思がある」(同前)という。

「『学校に縛られず、今しかできないことを今やりたい』と言って、進学先も自分で選んだそうです。そして猛勉強で旧大検を突破し、自由に競技できる時間を自分の力で確保したのです」

 しかも、“環境”がこれまた恵まれていた。

「冬季五輪金メダリストの原田雅彦と同じ北海道の上川町出身。担当記者にとっては『また上川の子か』という感じの“ジャンプの町”です」(同前)

 人口約4千人の町には、20メートル級と40メートル級のジャンプ台がある。子供たちがジャンプを本格的にできる環境は、北海道でも珍しいという。しかも高梨家は、父親も元選手、兄も選手というジャンプ一家。

「子供たち向けのジャンプ少年団は、原田選手を育てた指導者がいなくなって一時、活動休止になりましたが、再開されて現れたのが高梨さんです。小さいのによく飛ぶと評判の女の子でした」(町役場関係者)

週刊朝日 2013年3月8日号