今やイケイケドンドンの「アベノミクス行進曲」。政権支持率は高止まりどころか上昇曲線を描き、安倍晋三首相(58)は勢いをかって賃上げまで要請し、連合から春闘の主役をかっさらった。さらに安倍政権は、民間労組と、自治労や日教組といった官公労との分断まで狙っているようだ。

 その具体策として、財界首脳に賃上げを要請する一方で、地方公務員の給与引き下げについては、強い抵抗にあいながらも、7月に実施すると閣議決定した。

「震災復興の財源捻出で、昨年4月から国家公務員の給与は平均7.8%引き下げられ、国会議員も歳費を減らされた。ところが地方公務員だけはのうのうと同じ給与をもらい続け、国と地方の給与水準が逆転した。国民感情からしても捨て置けない」(自民党幹部)

 政権からは目の敵にされた自治労幹部は、内実はさらに厳しいと明かす。

「民間労組との分断作戦は給与だけじゃない。安倍政権が発足してから、政務三役が我々と会う時間をとってくれなくなった。民間労組には時間をとるのに……。自治労内では安倍さん、麻生太郎副総理(72)、菅義偉官房長官(64)を『三悪人』と呼んでいる」

 とはいえ、これほど政権が分断にやっきになっても、簡単には別れられない“お家事情”もあるようだ。

「連合傘下の最大組織は組合人数140万のUAゼンセンだが、組合費が安いパートが半数。一方、正規雇用がほとんどの自治労には80万人、日教組も30万人近い組合員がいる。連合に納める組合費はこの二つを足した方が多い。地方組織も同じ構図だ」(連合幹部)

 民間労組だけでは組織が立ちゆかなくなるわけだ。

週刊朝日 2013年3月1日号