俳優の古田新太氏は、知らない町で自動機能が備わったトイレに遭遇。フタの開閉時に「屈辱」を味わったと冗談交じりに振り返る。

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 洋式トイレで小をするべく、フタを開けようと腰をかがめ、腕を伸ばしたその時だ。「ウィーン」、開きやがった。フタが勝手に開きやがったよ。なんだこれ。いるか? この機能。返せ! おいらのかがむために使った腰と、右腕のわずかに使った筋力を。ちくしょう。扉に「ここのトイレは、勝手にフタが開きます」って書いとけよ。大体フタいるのか? どーせ開けて使うんだろ。便所のフタを閉めて何かやる人はいるのか。フタの上にオセロの盤を置いて長考してる2人組とか見たことがないぞ。しかも朝昼夕と、3回も同じ行動をしてしまった。そーなのだ。やつは、用を足した後おいらが席を離れると、ご丁寧にまたフタを閉めやがるのだ。おかげでおいらはトイレに入る度に同じように腰をかがめ、腕を伸ばしてしまった。愚かすぎる。手が届かないまま、目の前でウィーンと上がっていくこの屈辱。みなさんも3回くらって下さい。

週刊朝日 2012年12月7日号