「我こそが改革の旗手」と新党も乱立し、第三極の動きが注目される衆院選。しかし、選挙を知りつくす政治評論家の森田実氏と時事通信社解説委員の田崎史郎氏の二人は、日本維新の会の不安点を指摘する。

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田崎:安倍晋三総裁(58)は金融緩和をしきりに訴えて、景気対策をアピールしています。「政権を取ったあかつきには、2%、3%のインフレ目標を設け、無制限に緩和していく」という安倍発言を受け、日経平均株価は上昇し、9千円台まで回復しました。これは景気対策を争点にしようとした安倍さんの狙いどおりです。

森田:そうした状況下では、第三極は女性票の受け皿を目指すべきなんです。ところが、石原慎太郎代表(80)率いる日本維新の会は、安倍自民党以上の極右路線で、「戦う男」を前面に打ち出している。橋下徹代表代行(43)は、大阪では主婦層の支持を得ていますが、全国的にはそうでもない。かといって、他の政党は受け皿にしては小さすぎます。

田崎:維新の会が太陽の党と合併したことは、正直、プラスになるとは思えません。橋下さんのコアなファンは、「石原総理」を見たいわけではない。それに、大阪の人にはどこか「反東京」の気風があるので、反発して離れる可能性があるのではないでしょうか。

森田:今回の選挙は橋下さんの選挙ではなく、石原さんの選挙です。太陽の党との合併で「脱原発」という公約を後退させるなど、政策面でも妥協しており、野合だという批判も免れない。

週刊朝日 2012年12月7日号