脚本家の山田太一 津波がテーマの現実化しない作品を語る 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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脚本家の山田太一 津波がテーマの現実化しない作品を語る

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週刊朝日#ドラマ

「岸辺のアルバム」などのテレビドラマでヒット作を書き続けてきた山田太一さんは現在78歳。自分からセールスはしないが、新しい仕事の声がかかると、やはり書きたくなるという。

*  *  *
 先日書き終えた映画のシナリオは、ルーティンの話ではないので、実現するかどうかわかりません。違和感を持つ人も多いのです。しかし、テレビでやれることを映画でやりたくない。力のある映像を暗闇で一気に見てもらいたい。この先に何があるのか見えない不安、予感の固まりが現前してしまう物語です。

 実は、具体的なことは申せませんが、テレビドラマも2作書いています。

 一作はもう撮影に入る直前で順調ですが、もう一作は頓挫しています。東北の大津波を主題にしたものですが、視点が不幸にあった人々を傷つけるのではないかという心配で実現しません。これは、津波にあった地域で、すれすれで被害に遭わなかった人の罪悪感、苦しみを書いたものです。その人のせいではないのだけれど、助かったことが苦しいという人だってきっといるにちがいないと思います。被害に遭った方々の苦しみに比べたらのんきな話だと言われるかもしれませんが、私はそういう罪悪感に人間のぬくもりを感じてしまうのです。

週刊朝日 2012年11月30日号


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