秋場所千秋楽、白鵬を投げた日馬富士。元朝青龍も観戦した (c)朝日新聞社
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秋場所千秋楽、白鵬を投げた日馬富士。元朝青龍も観戦した (c)朝日新聞社
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 2場所連続全勝優勝という文句なしの成績で第70代横綱への昇進を決め、9月28日に明治神宮で初の土俵入りを披露した日馬富士(28)。だがその裏で、新たな門出に水を差す“事件”が起きていた。

 25日、横綱が土俵入りに使う綱を作るための「麻もみ」を一門の力士たちが行った時のことだ。日馬富士が作業の様子を、ガムをクチャクチャとかみながら見学し、ついには缶ビールで乾杯していた――と一部スポーツ紙が翌日の紙面で批判したのである。

 この“ガム事件”、新横綱の言動を追っていくと、どうも実態は違うようなのだ。

「『午後2時に伊勢ケ浜部屋に上機嫌で登場した』と書いた新聞がありましたが、日馬富士は最初、午後1時にやってきた。そこで(完成は)まだだと言われ、焼き肉屋に行ったのです。焼き肉屋で勘定をすればガムをくれる。それをかみながら部屋に戻ってくると麻もみをやっていたから顔を出したら、テレビカメラがいた。そのスタッフが『日馬富士がクチャクチャやっていた』とスポーツ紙記者に話し、ああいう記事になったようです」(スポーツ紙デスク)

 また、缶ビールは麻もみをしてくれた一門の力士たちへの、日馬富士からのお礼だったという。ベテラン記者は、日馬富士への過度なバッシング報道を懸念する。

「“禁煙”の支度部屋で堂々とたばこを吸ったり、後輩への“かわいがり”を面白がっているように見えるなど、色々と問題はあるんですが(苦笑)、ガムの話のような客観性のない記事はおかしい。安易にヒール(悪者)にし、かつての朝青龍のイメージに重ねようとしている。こんなことが起きるのは、角界にスターがいないからですよ」

週刊朝日 2012年10月12日号