橋下徹大阪市長(43)が率いる「大阪維新の会」は9月12日、いよいよ新党を旗揚げする。しかし、"橋下独裁"で盤石に見えたその足元は、身内である維新の会所属議員の"乱"が勃発するなど揺らぎ始めているという。

 9月3日に開かれた維新の会府議団総会(53人が出席)では、「我々の使命は大阪都構想をやり遂げることやろう。国政進出なんかやめろ」などと罵声が飛び交い、総会は途中で打ち切られた。

 維新の会は次期衆院選で既成政党と同じ条件で選挙戦に臨めるよう、現職国会議員5人以上を取り込んで結党する――こうした方針は既定路線として報じられ、民主党の松野頼久元官房副長官(51)、自民党の松浪健太衆院議員(41)らの参加が取りざたされていた。この衆院選候補者選びを巡る執行部の話の進め方が、内紛の火種になった。

「この日、執行部を激しく批判したのは、松井幹事長の子分的存在で、会の結成当初から参加していたメンバーだった。今井(豊・府議団幹事長)さんが会を仕切ったが、出席者から質問されても、彼は『聞いてないのでわからん』を連発。『わかるやつに説明させろ』と紛糾した」(出席した府議)

 松浪氏ら国会議員、橋下氏の"仲良し"である東国原英夫前宮崎県知事(54)、中田宏前横浜市長(47)両氏らに合流を打診する一方で、「原則、府議や市議の国政への転出は認めない」という執行部の方針も、府議たちの怒りの炎を大きくした。

 自民党出身の維新府議は「国会議員、府議、市議、維新塾生も含め、すべてを公募で選ぶべきだ。俺らが自民から維新へ移ったとき、自民党大阪府連の副会長だった松浪議員には、ずいぶんいじめられた。その恨みは忘れていない。応援なんかできんわな」と言う。

 足元から噴き出す批判に対する感想を同日、会見で問われた橋下氏はムッとした表情でまるで恫喝するかのように、こう言った。「メンバーらにすべてを説明すれば、全部が公になってしまうので、難しい。(党運営が納得できないというならば)僕が逆に問いますよ。どういう党運営ならいいのか、とね」。

※週刊朝日 2012年9月21日号