元トップのあり得ない不祥事に、老舗コンピューター企業が"フリーズ"した。日本IBMの大歳(おおとし)卓麻元社長(63)が、JR四ツ谷駅のエスカレーターで携帯音楽プレーヤー「iPod」の動画撮影機能を使い女性のスカート内を盗撮したとして、東京都迷惑防止条例違反の容疑で警視庁の取り調べを受けていたことが、8月30日に判明したのだ。本人も「盗撮に興味があった」と容疑を認めたという。

 同社中堅社員が嘆息する。「何が面白いのか、いつもニヤニヤしていて、10年近くも社長をしていたのに人物像が最後までつかめなかった。事件が明るみに出たのは、うちの大型汎用コンピューターの最新モデルを世界同時発表した日の翌日。タイミングが悪すぎますよ」。

 大歳氏は1971年入社。営業畑を歩み、99年に代表取締役社長に就任すると08年には会長も兼務した。09年に代表権のない会長に退き、今年5月、最高顧問に。花王や三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手5社の社外取締役、情報通信審議会(総務相の諮問機関)会長も務めていたが、事件発覚と同時にすべて辞任。IBMに提出していた辞表も30日に受理された。

 そんな経歴の大物が、いったいなぜ……。IBM社員が声をひそめる。「実は、社内でも大歳さんのセクハラ行為は前からウワサでした。私が聞いたのは、階段を上る女性社員の後ろに静かに近づき"カンチョー"したという話。目立った業績があるでもなく、結局、セクハラ話しか印象に残ってない(苦笑)」。

※週刊朝日 2012年9月14日号