政府や日本銀行は景気回復を声高に主張しているが、それは一部の大企業の話。商店街の小さなスーパーや飲食店、町工場といった「街場」の会社の倒産は、過去10年で最多となっている。

 今、街場の零細企業に何が起きているのか。地域別、業種別に詳しく見てみよう。

 零細企業の倒産件数を地域別にまとめると、2011年度の倒産件数は、東北を除く全地域で前年度を上回った。

「大震災の直撃を受けた東北は、政府による救済措置制度や復興需要の影響で、倒産が一時的に減少しました」(帝国データバンクの篠塚悟情報取材課長)

 一方、北海道や中国、九州は2ケタの増加率だった。

「被災地から遠い地方ほど、復興需要の恩恵を受けにくいことが影響しているのではないか」(民間調査会社のエコノミスト)

 皮肉な話だが、多くの零細企業にとって"ポジティブ"な要因は、復興需要しかないというのである。

 業種別で見ても、復興需要の恩恵を受ける建設業の倒産件数は、全体では減少し、零細企業でも0.4%と微増にとどまっている。しかし、こちらも実は地域差が大きい。

「被災地のガレキ処理で忙しいのは東北と関東だけ。東北に人材を取られているため、その他の地域は逆に人件費が高騰し、経営は苦しくなっているようです」(前出の篠塚さん)

※週刊朝日 2012年8月17・24日号