週刊朝日で2002年に始まった「手術数でわかる いい病院」は今年で10年の節目を迎えた。

 近畿で放射線治療の新規患者数を大きく伸ばしたのは兵庫医科大学病院だ。前年から248人増えて905人となった。前立腺がんや乳がん、頭頸部がんなどで放射線治療の位置づけが重要視されており、患者数も急増している。日本放射線腫瘍学会(JASTRO)の予測では、放射線治療の患者数は13年に45万人になるとされ、01年の13万人の3倍以上になる見通しだ。

 同院でも患者数は増えていて、むしろいかに治療待ちの期間を減らすかが鍵となっている。教授で放射線治療センターの上紺屋(かみこんや)憲彦医師は、10年の新規患者数増加の理由をこう説明する。

「より多くの患者さんを治療できるよう病院内の態勢などを改善しました。放射線治療には装置の整備や品質管理が不可欠です。10年に『放射線治療品質管理室』という部署を設置し、放射線技師の人員を拡充。何十種類もある装置の点検事項もマニュアル化し、正しく作動しているかを検証する点検装置も独自に開発するなどして、効率化に成功しました」

 同院では、「IGRT(画像誘導放射線治療)」という最新機器を09年に稼働。前立腺がんなどの放射線治療に有効な「IMRT(強度変調放射線治療)」よりもさらに正確な精度で照射できる装置で、腫瘍の位置を毎回計測することで照射位置を補正していく。この治療を受けたいと、調べて訪れる患者も多いという。

※週刊朝日 2012年8月10日号