御年86のエリザベス女王が「007」のジェームズ・ボンドとともにヘリからダイビングするという過激な映像演出で盛り上がった7月28日(日本時間)のロンドン五輪開会式。お祭り気分は最高潮に達したが、実は開会式4日前のロンドン入り直後から、週刊朝日記者はたび重なる「がっかり体験」に襲われていた。

 さっそくメーン会場に行ってみた。目指すは記者が集まるプレスセンター。最寄り駅は繁華街から地下鉄で15分程度のストラトフォード駅だ。

 しかし、この会場がとてつもなく広い。目の前にあるはずのメーンスタジアムに、歩けど歩けどたどり着かない。しかも舗装されていない砂利道で、足が痛くなる。真夏の日差しの中、駅から歩くこと30分、ようやくプレスセンターへ。これはもはや「最寄り駅」ではない。

 のども渇いたし、腹も減ったので、世界の科理が集まるフードコートへ。各国の記者でごった返す中、中華の定食を注文した。が、出てきたのはなんと、ご飯に肉切れをのせただけのシロモノ。サラダと水をつけて、しめて9ポンド(約1100円)也。高い!

 空腹を満たせず、今度はメキシコ料理店へ。ブリトーを注文すると、なにやら皮で具材を巻いた物体が登場。サワークリームとスパイスが口の中でけんかする"ワイルド"な一品が5.5ポンド(約700円)。かの地の「食」に期待するなとはよく言われるが、まさかこれほどまでとは……。

 後悔しつつ、メールをチェックするためにプレスルームへ。すると今度はWi-Fiでのネットの使用が有料だといい、五輪期間終了までで、なんと180ポンド(約2万2千円)。思わず「ぼったくり!」と叫びたくなった。

 とにかく、会場は「有料」「高額」のオンパレード。円高なのがせめてもの救いだが、「大英帝国」の懐の深さをもう少し見せてほしかったなあ……。

※週刊朝日 2012年8月10日号