東日本大震災時に起きた福島第一原発(フクイチ)での事故。今まで政府、民間、東京電力から三者三様の報告書が出されたが、国会事故調査委員会は7月5日に公表した最終報告書で「原発事故は人災」だと断じた。

 東電は事故当初から、事故の直接的原因が「大津波」であるとしてきた。社内事故調の報告書では、原発の安全対策について、国の基準などに沿って必要な対策を講じてきたと強弁した。

 週刊朝日で東電の問題点を語ってきたフクイチの最高幹部は、一貫して、事故原因の一端に「大地震」があったと指摘してきたが、今回の国会事故調の報告書はそれを裏付けるものだった。

〈地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態であったと推定される〉
〈安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない〉

 さらに、

〈歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま3・11を迎えた〉

 つまり、東電も保安院も、地震・津波対策の強化が必要だと認識していたにもかかわらず、意図的に怠り続けた結果、今回の事故に至ったと断罪したのだ。

 フクイチ最高幹部はいう。

「原発内は、いまも放射線量が高くて入れない場所ばかりです。原子炉格納容器など内部の状態はほとんどわからず、ロボット頼みの状況です。

 はっきりと内部を確認できていないのに、早々と原因は『津波』だと主張してきた本店に対して、国会事故調は疑問を呈した。このことは同様に、原子炉内部の状態がわからないのに『再臨界はない』などと言い続ける本店の主張の妥当性を疑っているものです」

※週刊朝日 2012年7月20日号