1968年のメキシコ・オリンピックの得点王で、日本のサッカー銅メダル獲得の立役者となった釜本邦茂さん(68)。実は幼いころは野球少年だったといい、その腕前をこう話す。

*  *  *

 ぼくは野球少年だったから、中学に進んだら野球部に入ろうと思ってました。ところが、姉の担任で、京都紫光クラブ(現・J2京都サンガF.C.)に所属していた池田璋也先生がこう言うんだ。「野球は日本とアメリカだけしかやってない。でも、サッカーならオリンピックもある。世界中に行けるんだぞ」とね。それを聞いて、根が単純なぼくは「そしたらサッカーやりますわ」って。
 でもホンマ、ぼく野球がうまかったんですよ。ずっと4番バッターでしたからね。いまでも冗談で、サッカーより野球のほうがうまかったって言うんです。ホント、池田先生に会わなかったら、今ごろ世間では「長嶋か王か釜本か」って言われてたと思う(笑)。

※週刊朝日 2012年5月25日号