こうした事情を踏まえ、枝野幸男経産相は1月20日、「砕石業者に責任があるとは言えない」として、速やかに賠償手続きに入るよう東京電力に指示する考えを示したが、その国も胸を張れる立場にはない。昨年5月以来、福島県が再三、砕石などに対する放射線量の基準を作るよう求めてきたのに、先送りしてきた事実があるのだ。

〈資材等の使用、搬出及び搬入時の移動に伴う放射線量の基準が無く判断できない状況にあり、復旧工事で支障が出ております。今後、復旧工事が継続不可能になることが懸念されるため、資材の使用及び移動に伴う放射線量の判断基準及び対応方法について早急に御提示願います〉

◆「経産省の担当に何度も催促した◆

 金属スクラップや紙くず、ガラスくず、砕石、土砂など23の原材料名を列挙し、県が土木部長名の文書で国にこう依頼したのは昨年5月26日のことだった。以来、問い合わせを重ねてきたが、いまだに回答はないという。

 県土木部の担当者は言う。

「経産省の担当者には何度も回答を催促しました。でも、『検討中です』という返事ばかりで、回答はもらえませんでした」

 コンクリートはセメントに水や砕石、砂利などを混ぜて作る。国は昨年6月、セメントについては1キロあたり100ベクレル以下という基準値を設けたのに、県の訴えはなぜ放置したのか。この案件を経産省から引き継いだ内閣府被災者生活支援チームの担当者は次のように話す。

次のページ