福島県の懸念を黙殺した国の“大罪” (2/5) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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福島県の懸念を黙殺した国の“大罪”

神田知子、永井貴子、篠原大輔週刊朝日#原発

 昨年末に市職員が「念のために」と、部屋の放射線量を測りに来た。0・2~0・3マイクロシーベルトだったので安心していたら、年が明けてこの騒ぎだ。

「まさか、ですよ。やっと落ち着けると思ったのに」

 女性はこう言ってため息をつく。中3の孫は2月上旬に高校入試を控えている。余計な心配はさせまいと、引っ越しの話題は出さないようにしているものの、
「こんなところに子どもを置いておけません。もう疲れ果てましたが、受験が終わったら、市内で引っ越せるように準備します」

 コンクリートが汚染されたのは、双葉砕石工業が計画的避難区域内の浪江町にもつ砕石場の石が使われていたからだ。同社は福島第一原発の事故後も石を屋外に積み上げ、避難区域に指定される昨年4月22日まで出荷を続けていた。経済産業省などによると、汚染の恐れがある砕石5725トンが県内19社に出荷され、福島市内の民家や二本松市内の2小学校、同県本宮市内の川の護岸工事など1千カ所以上で使われた可能性があるという。

 同社の猪狩満社長(50)は震災直後に家族と千葉県内に避難したが、全国から復旧のために大勢の人が駆けつけるのを見て福島へ戻ってきた。道路補修に追われる建設業者からの注文がひっきりなしに入り、「少しでも復旧の役に立てば」という思いから出荷した。石が汚染されているとは思いもしなかったという。

 猪狩社長は言う。

「金もうけではなく、福島県人がやらなくてどうするんだという思いで、昨年の3月22日から必死で働いてきました。ただ、マンションの住民の方々には本当に申し訳ない気持ちです」


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