映像授業には授業支援の機能が整った独自開発のプラットフォームを用いる。例えば教員側の画面には学生の発言頻度が色で表示されるため、次にどの学生を当てるべきか一目で分かるなど授業の支援機能が整っている。最大200人まで対応した大人数授業用のシステムでは、Zoomでいうブレイクアウトセッション(参加者を少人数ごとのグループに分ける機能)を行った後で、どのグループで議論が停滞しているか、あるいは発言者に偏りがあるかなどが一目で分かるようになっており、教員の介入を補助する。

■試験を行わない評価方法

 カリキュラムの最大の特徴とも言えるのが、伝統的な意味での試験を行わない評価方法だ。代わりに事前課題と授業での発言への評価の積み重ねで成績が決まる。これは試験による知識定着度の評価方法の限界を考慮してのことだという。「試験で知識定着度を測ろうとすると、90点くらいの点数を取ってようやく『この授業で教えたことを一通りきちんと身につけた』と言える状態だと思いますが、90点を合格ラインにしている授業って少ないですよね」と片山さん。合格ラインを60点などに設定し、部分的に授業内容を覚えていることを示せば単位がくる授業でいいのか。試験であれば一夜漬けでも対応できるが、そもそも実社会で一夜漬けの成果で評価されることは少ない。こうした背景から試験を行わないカリキュラムを貫いているという。

 試験を行わない代わりに、各授業での評価はシビアだ。授業への参加姿勢や貢献度から、HC(Habits of Mind and Foundational Concepts = 思考習慣と基礎概念)と呼ばれる100以上に渡る独自のスキル項目について、5段階で評価が下される。しかし完璧なパフォーマンスをしても4しかもらえず、5を取るためにはさらに何か独自の価値を見せなければならない。こうした授業中の行動が成績に直結する評価方法を取ることで、集中が切れがちなオンライン授業においても学生の集中力を保てるという。

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