「七夕空襲」をも乗り越えた妙見祭。いよいよクライマックス宮入りです

来たる8月22日は、妙見大祭の最終日。お仮屋で過ごしていた妙見様の神霊が、再び神輿で町内を練り歩いたあと、千葉神社に還座します。妙見大祭のクライマックスは、神輿が神社に入るとき、といわれます。無数の月星提灯・九曜提灯に照らされて、鮮やかな朱塗りの楼門に入るきらびやかな神輿は、まさに星々にとりまかれて輝く支配者・北極星の化身とも思われる美しさ。
境内に入ってからは一切肩で担がず、膝下で揉み、頭上高く差し上げるの繰り返しとなるため、担ぎ手の体力は限界ぎりぎり。その気迫・迫力が世に知られていないのは、一般の撮影が一切禁止されているからですが、千葉神社以前からその地に鎮座する香取のフツヌシへの配慮を欠かさず、境内では神輿の鳳凰をはずすしきたりといい、そこには見せかけではない神への尊崇と、伝統への敬意、それを受け継ぐ静かで激しい誇りを見ることが出来るのではないでしょうか。
先の大戦で千葉市街が7月7日に大空襲を受けた「七夕空襲」で千葉神社の一切の伽藍が灰燼に帰した年ですら、妙見大祭を実行したという逸話にもあらわれています。
891年途切れることなく受け継がれた伝統の祭りは、見せ掛けの派手さではない本物の伝統の迫力を目の当たりに出来るはずです。
妙見大祭の一週間は「何か一言願をかければ、その願いは必ず達成される」とされ、それが「一言妙見大祭(ひとことみょうけんたいさい)」の由来。特に最終日宮入の日は妙見様の霊力がもっとも高まっているのだとか。心からの願掛けに、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

参考文献
千葉県史跡と伝説 (荒川法勝 暁印書館)
妙見本宮千葉神社