300年前、華氏温度の提唱者が「水銀温度計」を開発した!! 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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300年前、華氏温度の提唱者が「水銀温度計」を開発した!!

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摂氏も華氏も。

摂氏も華氏も。

数値が表示されるデジタル式。

数値が表示されるデジタル式。

文字盤の中には金属の渦まきが。

文字盤の中には金属の渦まきが。

5月14日は「温度計の日」です。1724年、ドイツの物理学者ファーレンハイトがはじめて水銀温度計を作り、後の科学界に大きな影響を与えました。華氏温度の単位「 °F」には、彼の名前の頭文字「F」が残されています。このファーレンハイトの誕生日が1686年5月14日(ユリウス暦)であることから、この日が「温度計の日」となりました。今でこそ体温を測るのは、「ピピッ」と知らせてくれるデジタル体温計が一般的ですが、ひと昔前は水銀の体温計でした。昭和の時代の子どもたちは学校をずる休みしたくて、体温計をこすって熱があるように見せかけていたよなあ…。水銀体温計というと、そんな思い出がよみがえってきたりします。

華氏温度の氷点は「32」。中途半端な数字だけど、当時は合理的だった。

私たちが普段使っている温度は摂氏(℃)です。氷点が0℃、沸点が100℃で、10進法に慣れている私たちにとって直感的にわかりやすい数字です。単位の中の「C」は、世界ではじめて実用的な温度計を提唱したスウェーデンの天文学者セルシウス(Celsius)の頭文字をとってつけられました。
一方、ファーレンハイトが考え出した華氏温度(°F)は、当時得られた最低温度を0 °F(約-17.8℃)とし、
・氷点…32 °F (0℃)
・人間の平熱…96 °F (35.5℃。ちょっと低いですね)
・沸点…212 °F (100℃)
としました。つまり、氷点32 °Fから沸点212 °Fまでを180等分することができます。
氷点が「32」というのはとても半端な数字に思われますが、当時は今のような10進法よりも、ざっくりと2分の1や3分の1と分けたほうが測りやすかったようです。この「32」という数字は当時としてはとても合理的な数字でした。
32は2の5乗なので、0から32の目盛りを作るとき、半分にする作業を5回繰り返すと32等分することができるからです。さらに、氷点32 °Fに、32の2倍である64を足すと、人間の平熱96 °Fになります。
2進法、つまり、2倍2倍…、または、半分半分…で目盛りを作ることができるので、当時の「32」はとても“作りやすい”数字でした。華氏温度は現在でもアメリカやイギリス、カナダなどで使われています。
ところで、どうして華氏、または摂氏とよぶのでしょう。それは、中国で、ファーレンハイトを「華倫海特」、セルシウスを「摂爾修斯」と書くので、「華氏」または「摂氏」と表記するからです。また、「32 °F」は、英語では「32 degrees Fahrenheit」、略して「32 deg F」と表されます。

ガラス製温度計は、赤や青の液体や水銀の体積の増減で温度を測る。

ガラス管の中に入っている液体には、赤や青に着色されたアルコールや灯油、または水銀が使われます。これらの液体は温度によって体積が増えたり減ったりする特性があり、しかもその変化が一定なので、温度を計測する場合に向いています。
細いガラス管の中にこれらの液体を入れ、摂氏温度の場合、0℃のときの位置と100℃のときの位置を100等分すれば、0℃から100℃まで測ることができる温度計になります。室内の温度を測る場合は、日本だとだいたい-50℃から50℃の目盛りが必要です。このように一般向けで使われる場合は、ガラス管の中の液体はアルコールなどが用いられ、気温を測ったり、料理用で使われたりします。
一方、医療用など専門的な分野や公的な分野使われる場合は、水銀が使われることもあります。身近なところでは体温計や血圧計などがおなじみです。
新しい計量法に基づいて作られている精密なガラス管の標準温度計は、-50℃~360℃を50℃ごとに8本の温度計に分けられていて、なかには8本セットでなんと160万円以上もするものもあります。体温や室温のような場合と違い、研究や開発、基準の設定など、正確な温度が求められる場合には、ガラス管の精密な標準温度計が使われることがあります。

見やすいデジタル式は、「サーミスタ」の抵抗値の変化を利用。

数字が表示されるので、パッと見てわかりやすいデジタル式の温度計。大きく表示されるものもあり、老眼の方にも見やすくなっています。このデジタル式温度計の内部には、サーミスタとよばれる電子部品が入っています。サーミスタは温度が変わると抵抗値が変わり、電気が流れやすくなったり、流れにくくなったりします。 この値を計算して温度を算出します。最近では100円ショップで簡単に手に入りますが、電気マニア(?)の方はつい、裏のフタを開けて分解し、中の基板を見てしまうようです。

針で示されるバイメタル式。温度によって金属が伸び縮みする性質を利用。

針で気温などが示される温度計はバイメタル式とよばれ、丸い文字盤の中には、グルグルの渦まきが隠されています。
渦まきの正体は金属です。温度によって伸び縮みの割合が違う2種類の金属を、それぞれ細長く加工し、渦まき状にはり合わせます。渦まきの中心に温度を示す針が設置されていて、温度が高くなると金属が伸び、温度が低くなると金属が縮むので、それによって針が動きます。bimetallic、つまり、2つの金属からなる、という意味です。このしくみは1750年代ころに開発されました。
気象庁が気温を測るのに使っている温度計は3種類あります。温度によって液体や金属が膨張や収縮することを利用した、ガラス製温度計とバイメタル式温度計の2種類と、白金抵抗温度計といって、安定度が高い白金(元素記号はPt)が温度によって電気抵抗の値を変えることを利用した温度計の3種類です。
現在の私たちの暮らしになくてはならない温度計は、身近に使われる温度計から、研究・開発や計測に使われる精密な温度計まで、さまざまな種類がありますが、その基本となるのが、1720年代に開発された水銀温度計です。今からおよそ300年前。日本の江戸時代にはもう、ほぼ正確に温度を測ることができたのです。
とはいえ、水銀の毒性については問題となっており、WHO(世界保健機関)は、2020年までに水銀を使った医療用の体温計や血圧計などの製造や輸出入をやめ、水銀を使用しない医療を目指すとしています。
水銀体温計…。昔の子どもは体温計をこすったり息を吹きかけたりして、こっそり体温をごまかすことができましたが、最近のデジタル式の体温計は、体温をごまかすことは難しいなあ…。水銀体温計の歴史を紐解いていると、ふと、そんなことを考えてしまいます。


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