昨日の「節分」。豆まきをして、恵方巻きを食べて、ご家族仲良く過ごされた方も多いのではないでしょうか。本日2月4日は「立春」。暦では春のはじまりを迎えます。立春にいちばん近い新月の日(今年は2月8日です)が旧暦の新年。七十二候も改まって第一候「東風解氷(はるかぜこおりをとく)」となり、奄美大島では緋寒桜(ヒカンザクラ)が咲き、春の気配をどことなく感じる時節です。

暦の上で春が始まりました。「立春」に一番近い新月の日が旧暦の新年、今年は2月8日です。

まだまだ寒い日々が続きますが、季節は着実に冬から春へ。本日は「立春」を迎え、旧暦の上では春のはじまりとされ、一年のはじめとされました。
明治時代に新暦への改暦が行われるまでは、立春は現在の正月とほぼ同じ頃。今でも年賀状に「早春」や「新春」と記すのもその名残なのですね。八十八夜や二百十日などの雑節は、この「立春」から数えます。
また、旧暦の新年は、「立春」に最も近い新月。今年は2月8日にあたります。月の満ち欠けを指標に暮らしていた昔の元日は、今頃なんだなと思い、また心を新たにしてみるのもいいかもしれませんね。
「立春」の早朝、厄除けのために門に「立春大吉」と書いかれたお札を玄関などに貼る習慣があるのはご存じでしょうか。「立春大吉」という文字は、縦書きすると左右対称となり、一年間災難にあわないという願かけになったとのことです。
写真は、神奈川県の出雲大社相模分祠から届いた「立春大吉」のお札。本日「立春」の日に、玄関や大切な部屋の入り口などに、外へ向けて高い位置に貼り付けると、新春の光と東風を受けて、つぼみが花開くように、次第に膨らんでいく…。やがて訪れる春を象徴するような、希望で心が明るくなるような、福をもたらすありがたい縁起物です。

2月6日…2月最初の午(うま)の日は「初午(はつうま)」。稲荷神社の縁日です

この時節の風物詩の一つが、「初午(はつうま)」。2月最初の午の日に、稲荷神を祀る行事で、今年の初午は、2月6日(土)。
京都の「伏見稲荷大社」では初午大祭が行われ、商売繁盛や家内安全を祈願するために大勢の人が参拝します。参拝者には、「験(しるし)の杉」が授与され、持ち帰り庭に植え、根付けば願い事が叶うとか。ほか愛知県の「豊川稲荷」をはじめ全国各地のお稲荷さんで大祭や縁日が開かれます。
この初午の日には、「おいなりさん」=「初午いなり」を食べる風習も。狐の好物・油揚げに酢飯を詰めた「いなり寿司」は、どこか米俵にも似た姿。五穀豊饒を司る農業神でもある稲荷神にぴったりな縁起物ですね。

七十二候も年が改まって、第一候「東風解氷(はるかぜこおりをとく)」となりました

二十四節気「立春」を迎えた本日からは、七十二候も第一候となり、「東風解氷(はるかぜこおりをとく)」に。
少しずつ次第に暖かくなっていく風が、冬の間張りつめていた氷や凍土を解かし始める頃と言われています。
「東風」といえば春風のことですが、思い起こされるのは、
~東風(こち)吹かば匂(にほ)ひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春を忘るな~
という、菅原道真(すがはらのみちざね)が詠んだ歌。
太宰府へ左遷された道真が、日ごろ愛していた梅の木に別れを告げたこの歌。その後、この梅は大宰府の道真のもとへ飛んで行ったという「飛び梅」の伝説でも有名ですね。

いち早く私たちに待ち侘びる春の訪れを知らせる梅の花。ほのかな香りを漂わせながら、ゆっくりと南から北へ、開花時期を迎えています。

参考&出典
年中行事読本(創元社)