映画『FOUJITA』も公開中! レオナール・フジタってどんな男性? もしかして、ネコ? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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映画『FOUJITA』も公開中! レオナール・フジタってどんな男性? もしかして、ネコ?

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いつでも芸術の都、パリ!

いつでも芸術の都、パリ!

先日11月14日から全国で公開されている映画『FOUJITA』。フランスで「乳白色」の裸婦像が絶賛された日本人画家・レオナール・フジタ(藤田嗣治。ふじたつぐはる)の人物像を描いた、小栗康平監督の作品です。すべての場面を切り取ってポストカードにしたいような、静謐な美しさ。「わかりにくい人」とされながら、5回も結婚するほどモテモテだったフジタ画伯。映画公開を機に、その魅力を考えてみました。

ネコ男子。 肌触り優先!

『FOUJITA』で レオナール・フジタを演じたのは、オダギリ・ジョーさんです。
先月おこなわれた『東京国際映画祭』では、ステージに上がってきた出演者・制作陣の中にオダギリさんがいないと思ってよく見たら、なんと白いスカート(風?)姿のため一瞬女性に見えていたのでした。「中性的でなよっとした ネコタイプの身体感覚がイメージにピッタリだったので、オダギリさんをキャスティングした」と小栗康平監督が語る通り、映画からはフジタの「中性的な魅力」「ネコっぽさ」がいい感じで伝わってきました。
レオナール・フジタの作品は、「すばらしき乳白色」と フランスで絶賛された裸婦やネコの絵で知られています。下地にベビーパウダーが使用された、すべすべの白。思わずなでたくなるような女性やネコなのです。
フジタは迷いネコを拾っては飼い、パリで年に2回開かれる有名なネコ展覧会の審査員まで務めました。ペットというよりは仲間。著書で「ネコには猛獣の面影があるところがよい」とも語っています。
フジタの絵は、目で触って愛でる絵画といわれます。女性やネコの温もりと肌触りは、 5歳のとき母親を亡くしたフジタの感受性が求めたものなのかもしれません。
映画のフジタは、「絵描きというのは・・・」と、芸術についてよく語ります。けれども、自分の感情はほとんど語りません。女の人に罵られても、黙ってじっとしています。女性からしたら、ちょっと不安になるタイプではあります。

裁縫男子。 手づくり優先!

フジタは、絵画だけでなく、写真・ドールハウス・作陶・インテリア等々、身の回りのものをことごとく手作りしていました。もちろん服も。フジタは、明治生まれの「裁縫男子」だったのです。幼い頃にお姉さんと人形遊びばかりしていたことや、最初の妻・とみ夫人が女子美術学校の裁縫科出身だった影響もあり、布が大好きだったフジタ。第一次大戦時に1年間ロンドンに滞在したとき「裁縫師」のアルバイトをして基本的な裁縫技術をすっかり身につけたそうです。
「芸術家は宜しく芸術品を身に纏うべし」。
おでかけのときはダンディーな帽子や靴のブランドにこだわり、ふだん着は手作り。 ボーダーのボートネックシャツもお気に入りでした。
パリでは 小柄な日本人に合うサイズがみつけにくいという事情もありましたが、「既製品は商品でしかない」といってカーテンやベッドカバーまで自分好みに作っていたフジタ。アトリエで絵画制作と並行しながら針仕事を続けていたくらいですから、自らを「芸術品」として仕立てていたのでしょう。「メジャー模様」に細工したベルトは、体型維持のためなのか、必要に応じてサッとはずして計測するためなのか・・・。こだわりを大切にし、生活のすべてを芸術として体現していくタイプ。晩年まで、自分用だけでなく、妻の衣服や身の回りの小物まで手作りしていたそうです。しかもお料理が得意。ちょっとうらやましい夫ですね。

おかっぱ男子。 個性アピール優先!

おかっぱ頭にロイド眼鏡(フレームが丸いセルロイドのメガネ)、鼻の下にちょびひげ。パーティーの変装グッズにもなりそうなアイテム(どんなだったか見たい方は、リンク先をどうぞ)。おかっぱ頭にしたのは、戦時中に自分で散髪できるスタイルにしたとも、美術館で見たギリシャ彫刻に感化されて倣ったともいいます(じつは前髪のカーブなどにこだわりも)。何にせよ、日本人の黒い直毛ならではの強烈なインパクトを与えたことはまちがいありません。
フジタは外国で自活できた日本人アーティストの先駆者でした。 今でこそ日本人アーティストは世界中で活躍していますが、当時は一市民としても認められていたかどうか・・・くらいの存在感。とりあえずは「目立つこと」「覚えてもらうこと」が急務だと痛感してパリに生きていたのではないでしょうか。夜会イベントでも、日本舞踊風の踊りを面白おかしくやってみせたといいます。目的をもって道化になれるって、すごくかっこよくないですか?

そして芸術の国 フランス・・・!

「日本文化をむきだしに海外に持っていっても評価されるのは難しい。何かしらの仕掛けが必要です。それは、 現代でもそうなのです」と 小栗監督は言います。 映画は日仏合作。パリと日本の自然がどちらもそれぞれ美しく描かれ、どちらかの国を捨ててどちらかをとる必要はないと教えてくれます。
戦争にまつわる軋轢から日本の画壇に失望してフランスに帰化し、カトリックの洗礼を受けたフジタ。それからは子供の絵を多く描くようになりました。表情にあまり可愛らしさが感じられず、ちょっと不機嫌そうにも見える子供たち・・・パリに生きるリアルな子供(または大人?)の表情なのでしょうか。国や性別・年齢を超えて、人として愛したり心を痛めたりしてこそ芸術なのかもしれません。小栗監督は当日こんなこともおっしゃっていました。
「映っているものをただ見つめる。 そして祈りが生じるのを待つ、という鑑賞の仕方があってもいい」
映画を絵画を前に、祈ります。芸術を愛する人々が世界中から集まる フランスが、どうかどうか平安でありますように。
<参考>
「藤田嗣治 手仕事の家」林洋子(集英社)
「藤田嗣治『異邦人』の生涯」近藤史人(講談社)
「藤田嗣治画文集 猫の本」(講談社)


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