10月── 出雲大社に全国の神が集まる「神無月(かんなづき)」の詩歌 (2/2) 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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10月── 出雲大社に全国の神が集まる「神無月(かんなづき)」の詩歌

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藤原鎌足を祭神とする談山神社(奈良県)に実る柿

藤原鎌足を祭神とする談山神社(奈良県)に実る柿

〈柿くへば鐘がなるなり法隆寺〉

〈柿くへば鐘がなるなり法隆寺〉

〈〜いづこもおなじ秋のゆふぐれ〉

〈〜いづこもおなじ秋のゆふぐれ〉

〈門を出(いで)て故人に逢(あい)ぬ秋の暮〉与謝蕪村
〈頬杖に深き秋思の観世音〉高橋淡路女
〈秋の日が終る抽斗(ひきだし)をしめるやうに〉有馬朗人

蕪村の句はさびしさとなつかしさが入り混じったような秋の夕方を詠んでいます。
秋にさびしさを感じ、もの思うことは、中国の詩人・杜甫の句に由来する「秋思(しゅうし)」という言葉がある通り、歌でも昔から詠われてきました。

〈さびしさに宿をたちいでてながむればいづこもおなじ秋のゆふぐれ〉良暹法師
〈むかし思ふ秋の寝覚の床の上にほのかにかよふ峰の松風〉源実朝
〈おほてらのまろきはしらのつきかげをつちにふみつつものをこそおもへ〉会津八一

八一の歌は「唐招提寺にて」という詞書があります。秋とはっきり書いてありませんが、秋のほのかな憂いを謳っているような歌です。

●思い通りにならない「時の早さ」を感じる、季節の変わり目

 一方、秋の季語で面白いのは、「蚯蚓(ミミズ)鳴く」。
ミミズが鳴くわけはないのですが、「秋の夜、じーっと切れ目なく長く、何ものとも分かちがたく鳴く音」をいうのだそうです(山本健吉)。
要するに、秋の夜の静けさを表現する、俳句的な想像力のひとつだということでしょうか。

〈蓙(ござ)ひえて蚯蚓鳴き出す別(わかれ)かな〉寺田寅彦
もうすぐ冬がやってきます。
〈かくれんぼ三つ数えて冬となる〉寺山修司

季節の変わり目は、こんなふうにあっという間です。
季節の言葉は、思い通りにならない「時の早さ」を、なんとかしばし止めようとする人間の願望なのでしょう。

── 今日から10月。今年も残り3カ月となってしまいました。早いものですね。
この時季は感傷的な気分に陥りがちですが、無理して明るく努めるよりは、人間の感情「喜怒哀楽」の「哀」を意識的に自覚することも、秋のひとつの過ごし方ではないでしょうか。情感をもつのは、ヒトだけなのですから。


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