天上に広がる星空が美しい、空気が澄みわたる冬がやってきました。
ところで、この季節になるといろいろなシーンで「満天の星空のもと」という日本語を耳にしますが、実は満天の「天」=「空」なので、星空の「空」とカブってしまい、「空いっぱいの星空」と妙なことになってしまいます。
正しくは「満天の星(のもと)」なのです。皆さんも知らず知らずの誤った日本語を使っていませんか?
そこで今回は、間違って使われがちな慣用句、知らずに使うと恥ずかしい二重表現をピックアップしてみました。

正しい日本語を学ぼう!
正しい日本語を学ぼう!

意味を取り違えやすい「言葉・慣用句」文化庁の「平成25年度・国語に関する世論調査」※によると、半数以上の人が「世間ずれ」の意味を誤って理解しているとか。その他にも、誤用の一例をご紹介!
【世間ずれ】
「世間を渡ってずる賢くなっている」が本来の意味です。文化庁※の調査では、「世の中の考えから外れている」と勘違いしている人が55.2%、意味を正しく理解している人は35.5%にとどままっています。
【煮詰まる】
会議や仕事などで「これ以上いいアイデアが出ない、議論が行き詰まって結論が出ない」という意味で使われがちですが、本来の意味は「(議論や意見が十分に出尽くして)結論が出る状態になること」。つまり「煮詰まる」のは良いことなのです。
【役不足】
本来は「その人の力量の割には見劣りする役」という意味なのですが、「その人の力量に対して役目が重すぎる」という逆の意味で使われているのをよく耳にします。結婚式の司会などを頼まれて、「役不足ながら、務めさせていただきます」なんて決して言わないように! エラそうと思われちゃいますよ。
【姑息】
「卑怯」「ずるい」と勘違されやすい言葉ですが、本来は「一時的」「その場しのぎ」という意味です。たとえば、「姑息な手段」とは「卑怯でずるいやり方」ではなく、「一時しのぎの手段」ということになります。まあ、一時しのぎもズルい感じがしますが……。
【敷居が高い】
本来の意味は「相手に不義理などをしてしまい、そこに行きにくい」状況のこと。「高級すぎて(店などに)入りにくい」と誤解して使われているケースが多いようです。知らないと恥ずかしい「重ね言葉・二重表現」【後で後悔する】
「今やっておかないと後で後悔するよ」というのは間違い。後悔という言葉には「後」が入っているので「後で」は不要です。正しくは「今やっておかないと後悔するよ」「今やっておかないと、後で悔やむことになるよ」となります。
【はっきりと断言する】
断言の「断」には「はっきり」という意味が含まれています。「あいまいに断言する」なんて言いませんよね。「はっきりと言う」「断言する」とシンプルに使いましょう。
【一番最初・一番最後】
最初・最後の「最」には一番という意味があります。よって「一番最初(最後)に登場した」という使い方は間違い。正しくは「一番に登場した」「最初(最後)に登場した」となります。
【満面の笑顔】
こちらも満面の「面(=つら)」は「顔」という意味なので、笑顔の「顔」とカブります。正しくは「満面の笑み」となります。いやはや、日本語って奥が深いですね! 間違った言葉の一部をあげてみましたが、さて、あなたはどれくらい正しく理解していましたか?
一年の中でもさまざまなイベントが実施されるこの時季だからこそ、ロマンチックなクリスマスも年末年始も、正しい慣用句をさらりと使いこなせる教養と品格を備えた社会人として迎えたいものですね。