2012年度補正予算案の実質審議が始まるなか、永田町でひそかに囁かれているのが、“国会の爆弾男”こと自民党の西田昌司参院議員(54)の今後の「立ち位置」だ。

 その名を一躍全国区としたのは11年3月。当時の前原誠司外相(50)が在日韓国人の「焼き肉屋のおばちゃん」から、政治献金を受け取っていた事実をつかみ、外相辞任に追い込んだ一件だ。その“噛みつき”ぶりは味方にも容赦なく、09年に二階俊博総務会長代行(73)や鳩山邦夫元総務相(64)の「政治とカネ」の問題が表面化した際は、党本部に処分を求めたこともある。

 ネットにアップされた国会の動画再生数では上位を独占。西田氏が質問するたびに「西田砲炸裂(さくれつ)!」「神降臨!」などとコメントが書き込まれ、その存在感から昨年4月の予算委で、民主党の石井一委員長が「以上で、西田劇場……西田昌司君の質疑は終了いたしました」と締めくくったほど。

 当の西田氏を直撃すると、意気軒高だった。1時間ほどテレビ中継を独占できる予算委で、今度は持論である「廃憲論」を安倍晋三首相(58)以下、閣僚や視聴者に「教え諭す」と鼻息が荒い。

 廃憲論とは現憲法を連合国軍総司令部(GHQ)による「占領基本法」として破棄し、明治憲法を復活させるというもの。西田氏によれば、「党内で主張しているのは自分だけ。あとは日本維新の会の石原慎太郎共同代表(80)や西村真悟元防衛政務次官(64)ぐらい。改憲はハードルが高すぎる。憲法破棄を国会で決議すれば、憲法改正の手続き自体いらない」のだとか。

 近い議員や野党議員からは「政治とカネに目を光らせてこそ西やん」との声も上がるが、確かに、さすがに廃憲論はエッジがききすぎているような……。

週刊朝日 2013年2月22日号