中村千晶 映画「フィリピンパブ嬢の社会学」 フィリピン人の偽装結婚事情を丁寧に描く 大学院生の中島翔太(前田航基)はフィリピンパブを研究対象に選ぶ。そこでフィリピン女性ミカ(一宮レイゼル)に出会った彼は、ミカと付き合いはじめる。だが彼女は偽装結婚で入国し、パブ嬢として働いていた──。中島弘象さんの実体験を綴った原作に魅了された白羽弥仁監督が映画化した「フィリピンパブ嬢の社会学」。原作者の中島さんに本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 2/18
中村千晶 障害福祉サービス事務所「みらいファーム」の優しい日常を追ったドキュメンタリー「フジヤマコットントン」 山梨県にある障害福祉サービス事業所「みらいファーム」。朝のラジオ体操にはじまり、花を育てる人、コットンを織る人などそれぞれの作業をし、みんなでお昼ご飯を食べる。季節が移ろい、彼らに変化が訪れる──。個性豊かな人々の日常を「東京自転車節」の監督が記録したドキュメンタリー「フジヤマコットントン」。青柳拓監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 2/11
中村千晶 「断らない救急」に密着 社会問題と命を救う難しさに直面する一作「その鼓動に耳をあてよ」 「名古屋掖済(えきさい)会病院」の救命救急センター(ER)。「断らない救急」をモットーに医師の蜂矢康二たちは自殺を図った人、鼻にドングリを詰まらせた子ども、ホームレスなどを診る。彼らが診るのは背景にある社会的問題でもあった──。東海テレビドキュメンタリー劇場第15弾である「その鼓動に耳をあてよ」。足立拓朗監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 2/4
中村千晶 孤独を感じていた少女が、他人から想われたことで変わる物語「コット、はじまりの夏」 1981年、アイルランドの田舎町。9歳の寡黙な少女コット(キャサリン・クリンチ)は大家族のなかでも学校でもどこか浮いた存在だ。ある夏休み、コットは遠い親戚であるキンセラ夫婦に預けられることになる。子どものいない夫婦のもとで、ゆっくりと時を過ごすうちにコットに変化が訪れる──。「コット、はじまりの夏」のコルム・バレード監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 1/28
中村千晶 「100万ドルの夜景」と呼ばれたネオンを完全再現 失われつつある香港を回顧する一作 メイヒョン(シルヴィア・チャン)はネオン職人だった夫(サイモン・ヤム)に先立たれ、閉鎖したはずの夫の工房を訪ねる。そこには夫の弟子だという青年がいた──。かつて「100万ドルの夜景」と言われながら法改正でその9割が姿を消した香港のネオンへの憧憬と現在を映し出す「燈火(ネオン)は消えず」。脚本も務めたアナスタシア・ツァン監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 1/20
中村千晶 北朝鮮から脱北のリアルを描く サンダンス映画祭で開催直前までシークレットとされた一作 韓国で脱北者を支援するキム牧師に、ロ一家を助けてほしいとの連絡が入る。幼い子どもと老人を含む5人は中国の山間部で路頭に迷っていた。一家は無事に脱北できるのか──。脱北者の過酷な旅に密着し、2023年のサンダンス映画祭で開催直前までシークレットとされたドキュメンタリー「ビヨンド・ユートピア 脱北」。マドレーヌ・ギャヴィン監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 1/14
中村千晶 何にも頼らず生きる女性が「人を愛する」勇気の大切さを教えてくれる最高のラブストーリー ヘルシンキのスーパーで働くアンサ(アルマ・ポウスティ)は理不尽な理由で仕事を失う。工事現場で働くホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)は気が滅入る日々を酒でやり過ごしている。二人はバーで出会い惹かれ合うが、不運な偶然からすれ違ってしまい──。アキ・カウリスマキ監督待望の新作となる「枯れ葉」。主演のアルマ・ポウスティさんに本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 12/31
中村千晶 「クラスに女性器のある男子がいるよ」 性自認の苦悩を今一度考える映画「ミツバチと私」 8歳のアイトール(ソフィア・オテロ)は家族とスペイン・バスク地方にバカンスにやってきた。「ココ(坊や)」と呼ばれるのを嫌い、水着に着替えたがらないアイトールの様子に母は気づいているが、どう接していいかわからない。唯一、養蜂家の叔母だけがアイトールの苦悩を理解する──。映画「ミツバチと私」のエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 12/24
中村千晶 母と娘が「故郷の海の環境保護」で結びつく 社会問題に切り込んだ人気小説が待望の映画化 海洋生物学者のアビー(ミア・ワシコウスカ)は母の病を知り、オーストラリアの海辺の町に帰郷する。アビーは8歳で巨大な魚ブルーバックと出会ったときのこと、活動家として闘う母とは別の方法で海を守ろうと故郷を後にした日々を思い返す──。ベストセラー小説の待望の映画化となった「ブルーバック あの海を見ていた」。監督と脚本を務めたロバート・コノリーさんに本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 12/17
中村千晶 チェチェン紛争で「暴力的な民族」と称された人々を3年追った「アダミアニ 祈りの谷」 東ジョージアのパンキシ渓谷。キスト(チェチェン系ジョージア人)と呼ばれるイスラム教徒たちが暮らす牧歌的な谷は、チェチェン紛争で「テロリストの巣窟」と汚名を着せられてきた。ゲストハウスを営むレイラ、元戦士でガイドのアボなど谷で生きる人々の3年間を追ったドキュメンタリー「アダミアニ 祈りの谷」。竹岡寛俊監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 12/10
中村千晶 「この家は悪夢そのもの」 妻は認知症、夫が心臓病の老夫婦の最期を2分割画面で描く一作 本で溢れたアパルトマンに暮らす夫(ダリオ・アルジェント)と妻(フランソワーズ・ルブラン)。妻は認知症を患い、夫は心臓病を抱えている。離れて暮らす息子(アレックス・ルッツ)が心配するなか、妻の症状は重くなり──。画面を2分割する「スプリットスクリーン」で老夫婦の最期の日々を描く「VORTEX ヴォルテックス」。ギャスパー・ノエ監督に本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 12/3
中村千晶 「全員を平等に報じないのはおかしくないですか」 選挙取材歴25年のライターを追う一作 フリーランスライター・畠山理仁(50)。選挙取材歴25年、候補者全員を取材することを信条に選挙のおもしろさを記事にしてきた。2022年7月、畠山は参院選・東京選挙区で34人の候補者全員取材をスタートさせる。睡眠時間平均2時間。タイパもコスパも度外視な畠山を追いかけたドキュメンタリー「NO 選挙,NO LIFE」。監督の前田亜紀さんに本作の見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 11/19
中村千晶 「4年間で撮影できたのは4人」 全体の1%である自宅出産を選んだ女性と助産師を追ったドュメンタリー 東京都練馬区にある「つむぎ助産所」。アットホームな雰囲気のなか助産師の渡辺愛さんが妊婦と二人三脚で赤ん坊を取り上げる。北区の「みづき助産院」の助産師・神谷整子さんは院を閉めようとしていた──。99%の出産が病院で行われるいま「1%」を選んだ4人の女性と助産師を追ったドキュメンタリー「1%の風景」。監督の吉田夕日さんに見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 11/5
中村千晶 実事件を基に描かれる田舎vs.都会 映画「理想郷」」は移住者と地元の人の軋轢というテーマが「共感」を生む フランス人夫婦アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)とオルガ(マリナ・フォイス)は都会からスペインの村に移住する。スローライフを目指し、村を活性化しようとしていた二人だが,隣人兄弟は彼らを歓迎せず、嫌がらせをするようになる。そんななか事件が起こる──。実事件を基にした物語「理想郷」。主役である俳優のドゥニ・メノーシェさんに見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 10/29
中村千晶 メガネ王国・福井県の始まりにこんな史実があったとは 実話をもとにした映画が福井全市町の協力で完成 明治37(1904)年。福井県の村に暮らす増永五左衛門(小泉孝太郎)は弟の幸八(森崎ウィン)から「村でメガネ作りをしないか」と持ちかけられる。村の誰もがメガネなど知らない時代、最初は反対した五左衛門だが、妻・むめ(北乃きい)の機転で挑戦を決める。だが道のりは険しかった──。映画「おしょりん」の河合広栄プロデューサーに見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 10/22
中村千晶 笑いの中に溢れた子どもたちの多様性 サンダンス映画祭が熱狂したモキュメンタリーコメディー この夏もニューヨーク州北部の湖畔で子どもたちが集まる「シアター・キャンプ」が始まった。だがスクールは存続の危機で、キャンプ終了までに傑作ミュージカルを完成させなければならない。変わり者だらけの教師と子どもたちの運命は!? サンダンス映画祭を熱狂させたハッピーコメディー「シアター・キャンプ」。脚本と製作も務めたニック・リーバーマン監督に見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 10/8
中村千晶 これがいまの日本だ 国葬の日に全国でカメラを回したドキュメンタリー「国葬の日」 2022年9月27日、安倍晋三元首相の国葬の日。賛成4割、反対6割の世論のなか実施された国葬を日本国民はどう見たのか? あの国葬はいったいなんだったのか? 「なぜ君は総理大臣になれないのか」「香川1区」の大島新監督が全国10カ所でカメラを回し、人々の姿を記録したドキュメンタリー「国葬の日」。大島新監督に見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 9/10
中村千晶 森達也が描く、関東大震災後に起きた悲劇と狂気 多数派が少数派を標的にした映画「福田村事件」 1923年の晩夏。千葉県の福田村に澤田(井浦新)が帰郷する。同じころ香川県から沼部(永山瑛太)率いる行商団が福田村へ向かっていた。そして9月1日、関東大震災が起こる。「朝鮮人が集団で襲ってくる」との流言が飛び交うなか、村人たちは行商団を疑い──。歴史に葬られた大事件を描いた「福田村事件」。森達也監督に見どころを聞いた。 シネマ×SDGs 9/3