いま、日本人の2人に1人はがんになるといわれている。このため、家族や親類にがんになった人が複数いることは珍しいことではなく、遺伝がかかわっているとは限らないという。ライターの中寺暁子氏がレポートする。

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 がんを引き起こす要因のうち、遺伝に関係するのは、5%程度と推測されています。

 細胞ががん化するには、複数のがんに関連した遺伝子に変化が起こる必要がありますが、遺伝性の場合、両親のいずれかから、生殖細胞を介して、変異した遺伝子を受け継ぎます。そのため、生まれた時点ですでに、すべての細胞に変異した遺伝子が含まれていて、そのぶん通常よりも早く、さまざまな臓器にがんが発症しやすくなります。これが遺伝性のがんの特徴です。遺伝に関連するのは大腸がん乳がん、卵巣がんなどです。

 遺伝性のがんには、次のような特徴があります。(1)同じがんを発症している血縁者が多く(父方と母方の家系を分けて評価)、若い年代で発症している(2)何度もがんができる(3)比較的珍しいがんになっている。こうした特徴がある場合は、がん専門病院などに設置されている遺伝専門外来などで相談してみましょう。

週刊朝日 2012年11月9日号