【ドラマのミカタ】エアギターに見る果敢なラボ 〈GALAC〉|AERA dot. (アエラドット)

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【ドラマのミカタ】エアギターに見る果敢なラボ

「せいせいするほど、愛してる」(TBSテレビ)

木村隆志GALAC#ドラマ #ドラマのミカタ

 何が凄いかと言えば、エアギター。物語に関係ないところでいきなり滝沢秀明のエアギターがはじまるのだ。部屋中の灯りをつけながら、テーブルの上に寝そべりながら、全身全霊でエアギターを奏でるタッキー。それどころか、次回予告でもエアギター、番宣CMでもエアギター、ラテ欄にも「嵐の大反響!超話題胸キュンエアギター」。完全に確信犯である……というより、もはやゴリ推しレベルだ。

「メインテーマの不倫や三角関係がどうでもよくなるほど、流れをぶった切っても構わない。だって、そのほうが思わずツイートしたくなるし、リアルタイム視聴につながるでしょ」。エアギターの相手役に当たる位置づけの武井咲が一人カラオケをするシーンも含め、制作サイドのそんな声が聞こえてくるようだ。

 ここ数年、恋愛ドラマは“壁ドン”を筆頭にツイート狙いの胸キュンシーンがマストのようになっている。今作でも、ヒロインの靴が壊れたらお姫様抱っこでブランド靴店に連れて行く、「風邪なんて俺にうつせ」と言いながらキスするなど、少女漫画をコピーしたようなシーンが多い。いや、少女漫画からさらに数歩踏み込んだような危険水域に入った感すらある。

 さらに当作は、連ドラ初のティファニー全面協力、迎賓館赤坂離宮でのロケ、フィギュアスケートのアメリカ人メダリスト出演、松田聖子×YOSHIKIの主題歌など、特濃トピックスがてんこ盛り。ちなみに使用ジュエリーの総額は46億円で、随所に「とにかくやり切ろう」という迷いなき姿勢が見える。ドラマ性よりもエンタメ重視であり、すべては視聴率のため。その基準は、「いかに視聴者の興味を引き、アクションさせるか」でブレることはなく、ここまで割り切った作品は珍しい。誤解のないように書いておくと、決して批判をしたいわけではなく、実績十分のスタッフたちが、「よくここまで思い切れたな」「抵抗はないのだろうか」と新鮮な驚きを感じているのだ。

「せいせいする」の意味は、「わだかまりが消えて吹っ切れる」「心配事が消えてすがすがしい気持ちになる」。とかく低迷が叫ばれるドラマ業界の中で、何か吹っ切れるきっかけがあったのだろうか。それとも「カッコつけずに、いったんおバカになってみよう」と思っただけなのか。当作を笑いながら楽しんでいる人が多いのは、「せいせいするほど、おバカに徹している」作品だからなのかもしれない。

 好き嫌いは別にして、果敢なラボに挑むスタッフに、最大級の賛辞を贈らせていただく。

●きむら・たかし 今回はあえて『GALAC』に最も遠そうな作品を選んでみた。もし当作がギャラクシー賞に……選ばれないだろう。ところで、滝沢は日本エアギター協会の指導を受けているらしい。


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