書評『僕たちはどう伝えるか』中田敦彦著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《今週の名言奇言 (週刊朝日)》

僕たちはどう伝えるか 中田敦彦著

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斎藤美奈子書評#今週の名言奇言

プレゼンとは戦いだ。

『僕たちはどう伝えるか』の副題は「人生を成功させるプレゼンの力」。オリエンタルラジオの「あっちゃん」こと中田敦彦による「伝え方」の本である。

 書き方の本はいろいろあるけど、話し方の本って、少ないんですよね。が、人生においてプレゼン力が必要な場面は意外に多い。著者があげている例は、親に進路を伝えるとき、就職試験で志望動機を聞かれたとき、プロポーズ。実際、彼もいいきる。<プレゼンの力があれば自分より圧倒的に優れた才能に勝つことができる>

 では、実際の極意は?

 プレゼンは最初が肝心。いいかえると<開始10秒ですべてが決まる>。話す前の顔が重要。自信のある顔つきで第一声を発することができれば勝敗は決まる。

 原稿は読むな。読まないけど安心材料として持っていたいというのもダメ。原稿を持ち込んだ時点で<心をつかむプレゼンは絶対にできない>。原稿を読む政治家を思い出せばわかるだろう。

 専門用語と気取ったカタカナ語は使わない。聞き手に劣等感を与えてしまったら、相手の心は離れていく。引き算が大切。<「難しい」「長い」は最悪。/「簡単」「短い」が最高>なのだ。

 この人のプレゼン力は、以前放送されていた「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)というテレビ番組でも実証ずみだ。『銀河鉄道の夜』(だったかな)の内容を紹介する場面で、私はいたく感心したことがある。教師がみんなこうだったら学校の授業でも寝なかったのにね。と思ったら、こんなアドバイスも。

 紙資料の事前配布はしない。資料はネタバレで、聞き手は資料に気を取られてしまうからだ。授業がつまらなかったのは教科書を開いてノートを取りながら話を聞く、あの態勢がよくなかったのだ。

 私もたまに講演を頼まれることがあるのだけど、いまだに苦手意識が拭えない。<プレゼンとは戦いだ><勝敗が不明瞭な「芸術」ではない。/勝敗が歴然とついてしまう「格闘技」なのだ>

 なんですね。心します。

週刊朝日  2018年11月9日号


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