著者がパーソナリティーを務めるNHKのラジオ番組「すっぴん!」で取り上げた本や、それらの本にまつわる逸話をまとめたエッセイ集。

《三十一文字のラヴレター》の節では『たとへば君 四十年の恋歌』(河野裕子・永田和宏)を取り上げ、二人の歌人が交わした愛の歌の素晴らしさを説く。書名にもなった表現については『さすらいの仏教語』(玄侑宗久)を引き、その意味を解説。『日本国憲法 大阪おばちゃん語訳』(谷口真由美)や『忙しい現代人のための 2秒で読める世界クイック名作集』(マキゾウ、オモコロ編集部)など硬軟取り混ぜた本を紹介し、言葉の深淵に迫っていく。

 稀代の読書家である著者の軽妙な語りと朗読によって紹介された本が、活字で蘇った。著者の柔らかな思考から学ぶところが大きい雑学新書である。

週刊朝日  2018年10月3日号