堤清二 罪と業 最後の「告白」

話題の新刊

2016/12/01 15:07

 セゾングループの総帥であり、作家辻井喬の顔も持った堤清二へのロングインタビューを、物語のような筆致でまとめた、第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。
 西武グループの礎を築いた実業家で、異常な好色家であった父・康次郎が生んだ“業”と“矛盾”。死してなお清二と弟・義明氏を呪縛し、二人の因縁をつくった経緯が生々しく描かれている。その清二が、父への激しい憎悪を口にしながらも、父が命をかけた財産を守る意思や、「父に愛されていたのは、私なんです」と語る。青白い情念を帯びた言葉で父の愛情を確認しようとする「静かな狂気」の様は、最晩年の心境であり、本書はそれを見事にすくいとり、堤家とは、西武グループとは何だったのか、という根源的な問いを投げかけている。

週刊朝日 2016年12月9日号

堤清二 罪と業 最後の「告白」

児玉博著

amazon
堤清二 罪と業 最後の「告白」

あわせて読みたい

  • 無印良品はなぜ大成功し、今壁に直面しているのか? ビジョンと業績の不思議な関係

    無印良品はなぜ大成功し、今壁に直面しているのか? ビジョンと業績の不思議な関係

    dot.

    3/28

    田原総一朗「新たな道探る共産党。上田、不破両氏が私に語ったこと」
    筆者の顔写真

    田原総一朗

    田原総一朗「新たな道探る共産党。上田、不破両氏が私に語ったこと」

    週刊朝日

    7/14

  • リブロ池袋本店 突然の閉店に現役店員が胸中明かす

    リブロ池袋本店 突然の閉店に現役店員が胸中明かす

    週刊朝日

    8/22

    無印良品と「東山文化」の共通点とは

    無印良品と「東山文化」の共通点とは

    BOOKSTAND

    12/21

  • 「しゃけは全身しゃけなんだ。」無印良品の初期ヒット作と故堤清二さん

    「しゃけは全身しゃけなんだ。」無印良品の初期ヒット作と故堤清二さん

    週刊朝日

    12/4

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す