書評『堤清二 罪と業 最後の「告白」』児玉博著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

《話題の新刊 (週刊朝日)》

堤清二 罪と業 最後の「告白」 児玉博著

このエントリーをはてなブックマークに追加
前田伸也書評#話題の新刊

 セゾングループの総帥であり、作家辻井喬の顔も持った堤清二へのロングインタビューを、物語のような筆致でまとめた、第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。
 西武グループの礎を築いた実業家で、異常な好色家であった父・康次郎が生んだ“業”と“矛盾”。死してなお清二と弟・義明氏を呪縛し、二人の因縁をつくった経緯が生々しく描かれている。その清二が、父への激しい憎悪を口にしながらも、父が命をかけた財産を守る意思や、「父に愛されていたのは、私なんです」と語る。青白い情念を帯びた言葉で父の愛情を確認しようとする「静かな狂気」の様は、最晩年の心境であり、本書はそれを見事にすくいとり、堤家とは、西武グループとは何だったのか、という根源的な問いを投げかけている。

週刊朝日 2016年12月9日号


トップにもどる 書評記事一覧


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい