高校の教科書を大人用に書き改めたシリーズの一冊。
 終戦の1945年から2015年まで、70年の激動の時代が政治、経済、国際情勢、社会問題のみならず、文化、スポーツ、芸能、風俗にいたるまで解説されている。
 敗戦の混乱から立ち直るために日本の政治はどのように動き、復興のためにどんな経済政策が実施されたのか。高度経済成長の「影」に潜むアメリカの占領政策の影響とは。そして、この70年間に、日本人は何を棄てて、何を守り得てきたのだろう。
 少子高齢化、環境破壊、エネルギー問題、食糧問題、情報管理など、多くの難題を抱えて、この国はどこへ向かっていこうとしているのか。高校時代とは違う角度から読める新鮮さがいい。曲がり角にきた立憲主義、民主主義の再考を促す書でもある。

週刊朝日 2016年7月8日号