書評『砂子のなかより青き草』宮木あや子著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

砂子のなかより青き草 宮木あや子著

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大田原恵美書評#話題の新刊

砂子のなかより青き草

宮木あや子著

978-4582836448
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 本書は、平安時代の才女・清少納言が主人公。R―18文学賞でデビューした宮木あや子が描く大人の女性のための時代小説だ。
 子ども四人を産み、夫とも別れたあとの清少納言が、中宮定子に仕えることになったところから始まる。一条天皇の寵愛を受けて栄華を極めていた定子だが、父・藤原道隆の死後、叔父・道長が関白の座についたとたん、状況は一変、男たちの政権争いに否応なく巻き込まれていく。『枕草子』は、そんな気の休まらない日々を送る定子を清少納言が楽しませようとして綴ったという設定だ。
 定子の父が危篤の際、女たちが気を紛らわせようと「嫌いなもの」を言い合っている場面が面白い。人間って、悲しいこと、怖いことを前にして、ついどうでもいい話で盛り上がってしまうことがある。本書は、千年前の平安時代も今も、人間の根本は変わらない、と思わせる点が魅力の一つ。
 ちなみに本作では、紫式部が圧倒的に嫌な女として描かれている点が面白い。あの女のドロドロした源氏物語を書いた女性だと思えば、むしろ悪女説に納得。

週刊朝日 2014年7月25日号


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