漫画『テルマエ・ロマエ』などの作品で知られる著者は、17歳で絵画を学ぶために単身イタリアに渡り、極貧生活、突然の妊娠、出産直後の別れとシングルマザー生活、15歳年下のイタリア人男性との子連れ結婚と、世界を股にかけながら怒濤の人生を歩んできた。そんな著者なら、悩み多き日本女性の葛藤にどう向き合うのだろうか。
 相談の数々は「異質性」で悩んでいるものが多く、日本社会には変わったものを認めたり、人はそれぞれに違って当たり前と思える成熟性が乏しいと指摘。思い当たる節は山ほどある。「空気」を深読みし、枠に縛られすぎて疲弊し切っている自分に気づく人は多いだろう。
 一方、著者が支えにしてきたのは、心の中に存在する、ゆるぎない自分である“マザー”。自分を客観的に見て、どんと構える“マザー”がいれば、自らの決断に自信を持ち、主体的に乗り越えられるようになると説く。
 どんな状況でも人生を謳歌できることの素晴らしさ! 前向きで愛あふれる人生指南に元気をもらい、一歩を踏み出したくなる。いくつになっても悩める女必読の書。

週刊朝日 2014年7月18日号