書評『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』森岡毅著 |AERA dot. (アエラドット)

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《ベストセラー解読 (週刊朝日)》

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 森岡毅著

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永江朗#ベストセラー解読

アイデアはまず論理から

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の年間入場者数が、1000万人突破確実となった。USJは2001年の開業初年度こそ1100万人を達成したが、その後は低迷、10年度には750万人にまで落ち込んだ。ところが12年度から盛り返す。この奇跡のV字回復を成功させたのが同社CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の森岡毅。『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』は、彼が成功秘話と思考法について明かした本だ。
 もともと森岡は化粧品のマーケティングが専門だった。テーマパークはまったくの異業種だ。ところが森岡が着任した10年からの3年間でUSJは甦った。何があったのか。もともとテーマパークが大好きで、世界中のめぼしい施設は体験済みであることや、ゲームも大好きで家庭用ゲーム機を各種揃えているという趣味嗜好も幸いしただろう。だが、いちばん大きいのは彼の戦略の立て方、そして思考方法である。
 物語としては表題のエピソードなどが面白いが、重要なのは第6章「アイデアの神様を呼ぶ方法」である。著者が「イノベーション・フレームワーク」と呼ぶ発想法は「フレームワーク」「リアプライ」など四つからなる。
 応用できそうなのは「数学的フレームワーク」だ。問題の原因や可能性を発見するときの論理的思考法で、「足して100になる仮説を立てて検証する」という。集客が下がったとき、「子連れ家族の客が減ったのか、女性客が減ったのか」と考えるのはだめ。「女性客が減ったのか、男性客が減ったのか」「子連れ家族の客が減ったのか、それ以外の客が減ったのか」というふうに、条件を足すと100パーセントになるように仮説を立てる。経験や勘も大事だけど、論理的に思考できなきゃダメだよね、というお話だ。
 USJでは、もうすぐ「ハリー・ポッター」のアトラクションが始まる。

週刊朝日 2014年4月4日号


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