日本の10大庭園 何を見ればいいのか

新書の小径

2013/10/10 15:01

 庭に興味はない。庭園に行く趣味もない。龍安寺の石庭って言われても、とんとその良さはわからぬ。しかし小学生の頃に授業で箱庭をつくった時は楽しかった。小さい橋とか架けたりして。庭とも言えないような空き地の風情に心奪われることもある。ということで、日本の十大庭園について紹介&解説した本を読むことにする。10個の庭園は、有名なのも、聞いたことすらないのも交じっている。いくつかは実際に行って見たこともある。
 いやー、見てつまらんと思ってた庭もよく見えてくる! 写真もいい。白黒の写真が挟まれるだけなんだけど、見ていると「小学生の時に、箱庭で山をつくったり橋を架けたりした時のわくわく」が鮮烈によみがえってきました! そうそう、こういうのがつくりたかったんです。作庭って、箱庭づくりと同じことだよな。そういえば私、富士塚が大好きなのだが、庭の中に山や川や滝を再現しようというのと、富士山を再現しようというのは同じことじゃないですか。
 読み進めると、作庭についての決まり事がいくつも出てきた。先日読んだ冷泉(れいぜい)家の本に、和の文化とは決まり事を共有して異を唱えないこと、と書いてあって唸らされたばかりだったので、その決まり事についても熱心に読んでしまった。まあ、どんなに読んでも、決まり事はやっぱりつまらなくて、「縮景(しゅっけい)」という、自然の有り様を庭に再現することのほうがわくわくする。
 紹介されてる庭園では、福井の一乗谷朝倉氏(いちじょうだにあさくらし)遺跡庭園群の「諏訪館跡庭園」がだんぜん欲しい庭である。自分ちの庭にこれを持ってきたい。でも庭というのは、与えられた敷地の地形にしたがって庭園を築くので、持ってくるのはムリなのである。そもそも名庭園は金持ちじゃないとつくれない。一乗谷朝倉氏遺跡庭園群は、信長に滅ぼされて土に埋まっていたということで、敗れた者の庭なのだ。そのへんが京都の名庭園よりも心惹かれる理由かも。

週刊朝日 2013年10月18日号

日本の10大庭園 何を見ればいいのか

重森千青著

amazon
日本の10大庭園 何を見ればいいのか

あわせて読みたい

  • 【写真特集】「御城印」が導く 未知との遭遇

    【写真特集】「御城印」が導く 未知との遭遇

    5/23

    広々とした庭園・公園を散歩しよう!中国地方の庭園・公園4選

    広々とした庭園・公園を散歩しよう!中国地方の庭園・公園4選

    tenki.jp

    10/27

  • 江戸時代の東京が同時代のヨーロッパより圧倒的に

    江戸時代の東京が同時代のヨーロッパより圧倒的に"美しい街"だった宗教的な理由

    プレジデントオンライン

    7/29

    六義園の「しだれ桜と大名庭園のライトアップ」で、幻想と幽玄の春の夜を楽しもう

    六義園の「しだれ桜と大名庭園のライトアップ」で、幻想と幽玄の春の夜を楽しもう

    tenki.jp

    3/24

  • 美術館で紅葉狩りをしよう! 東京都庭園美術館〜庭園とアートを楽しむ

    美術館で紅葉狩りをしよう! 東京都庭園美術館〜庭園とアートを楽しむ

    tenki.jp

    11/23

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す