本書は、世界の「キテレツ洋書」を取り扱う書店「どどいつ文庫」を営む著者が、選りすぐりの200点をセレクトの上、解説を付したものである。
 「どこまでも、気のむくままに、これはヒドい!これはアホぢゃ!とお楽しみいただければ幸いであるまする」……あるまする? 世界中のマニアックな書籍を蒐集し続けたせいなのか、著者の語り口もなんだかキテレツだ。
 一冊目に紹介されている『放置自転車写真集』からして「どうしてこんな本を作ろうと思ったのだろう?」と問わずにいられないが、これはまだ序の口。有刺鉄線や鉄条網のデザインを千種類もイラスト図解入りで紹介する本や、名も知れぬ一般人のラブレターを集めた本、「自称独立国」の数々を巡る旅行ガイド本などが、次から次へと押し寄せてくる。本書を読み終わる頃には、すっかりキテレツ本支持者となって、「こんなにも夢中になれるモノがあっていいな」という思いがこみ上げ、自分の凡庸さがなんだか悲しく思えてくること請け合いだ。

週刊朝日 2012年11月16日号