亡くなった孫のBちゃんの卒業文集を読む林健治さん(撮影・今西憲之)
亡くなった孫のBちゃんの卒業文集を読む林健治さん(撮影・今西憲之)

 小学校の教諭の間では、Bちゃんがカレー事件で逮捕された眞須美死刑囚と夫・健治さんの孫ではないか、と薄々はわかっていたという。

「学校では児童の一人ですから、特別扱いはありません。ただ、社会的にあのように大騒ぎになったカレー事件が影響していじめにあうと、精神的に不安定になったりするので、その点は注意していました。運動会などではお母さんのAさんも姿を見せていたので、ごく普通のご家庭に見えました。だから余計にあのBちゃんがなぜ、と思います」(前出の教諭)

 Bちゃんは小学校の卒業文集に<六年生で一番楽しかった思い出>というタイトルで、修学旅行のことを綴っている。六年生の秋に、奈良県と京都府に行った思い出をこう記している。

<一番楽しかったのは、若草山です。理由は、登るのは辛かったけど、下るのは簡単でした。一番上から見た眺めがとてもきれいだった…>

 また、宿泊した旅館で<写真を撮ってもらって、枕投げをしました。楽しかったです。布団がぐちゃぐちゃになったけど、楽しいことをしました>と嬉しそうな様子も書いている。

虐待が疑われるBちゃんの変死(提供)
虐待が疑われるBちゃんの変死(提供)

 SNSなどを通じて、眞須美死刑囚の支援活動をしている長男は、姉・Aさんの死について言葉少なくこう話す。

「写真も見ましたが、Bちゃんは姉Aにそっくりで、可愛い姪っ子でした。こんなことになって複雑な心境です」

 Aさんの父である健治さんは、孫になるBちゃんの卒業文集を手にこう語った。

「わしと眞須美は長女ら子供たちを連れて、よく旅行に行ったな。Bちゃんも旅行が好きだったんやね。奈良や京都の修学旅行が楽しかった様子が、目に浮かぶわ。関西空港連絡橋で長女Aが亡くなったようだが、わしらが家族で旅行に行く時は、よく関西空港から行ったんよ。最後は思い出の場所でと思ったのかな…」

 そして涙を流しながら健治さんはこう続けた。

「15日夕方に和歌山県警から連絡がきた。長女であることが間違いなさそうな話でした。本当に辛いです」

(AERAdot.編集部 今西憲之) 

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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