大西みつぐ 世紀の変わり目で写した東京と、崖という地形に沿って写した東京 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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大西みつぐ 世紀の変わり目で写した東京と、崖という地形に沿って写した東京

撮影:大西みつぐ

撮影:大西みつぐ

 写真家・大西みつぐさんが二つの作品展を開く。「路上の温度計 1997-2004」は3月5日から東京・六本木のZen Foto Galleryで、「地形録東京・崖」は4月1日から東京・目黒のコミュニケーションギャラリー ふげん社で開催される。大西さんに聞いた。

【写真】大西みつぐさんの展示作品

 大西さんが最初に「路上の温度計」(ニコンサロン)を発表したのは2005年。

「そのときに思ったのは、時とともに変容していくイメージ、記憶があるのだから、いつかもう一回、この作品を見せるのはありだな、と。それがいま。ちょうど撮影から20年後」

 そんな感じでインタビューは始まったのだが、その直後、大西さんが熱を込めて語り出したのは撮影で使ったカメラのことだった。中判のフィルムカメラ、富士フイルムGA645WiとブロニカRF645が「ものすごくよかった」と言う。

 この「645」という画面サイズは35ミリ判よりもひと回り大きいため、そのぶん、カメラはごつくて重い印象がある。ところが、この2機種は「すごく軽快で、楽しく撮れるわけですよ」。

「特徴的なのは両方ともファインダーを覗くと、縦位置に見えること。それで、縦位置で撮るのも面白いじゃん、全部縦位置で撮ってやろう、みたいなことになったんです」

 カメラが時代の空気に合っていたという。

「あまりしがらみがなくて。シャッターをパンパンパンと切っていく、みたいな。そういう快感があった」

 実際、作品を目にすると、「楽しく撮った」感じが画面からにじみ出ている。カラーリバーサル(ポジ)フィルムで写した画面は比較的大きいこともあって、その画質にはこってりとした厚みが感じられる。
撮影:大西みつぐ

撮影:大西みつぐ

ニューヨークとパリ、19世紀と20世紀の境で偉大な仕事をした二人の写真家

「期せずして、この645で撮り始めたのが1997年ごろで、当然、思ったのが『21世紀』。この時代の変わり目に向けて、いろいろな写真家がさまざまな試みをしていて、(さて、ぼくは何をしようかな)と、考えたんです」

 大西さんの頭に浮かんだのは19世紀と20世紀の境で「都市と人間、写真という関係を刻み」、写真史に残る偉大な仕事をした二人の写真家、アルフレッド・スティーグリッツとウジェーヌ・アジェだった。

「スティーグリッツはニューヨークという大都市が新たな世界の象徴になっていく様子をしっかりと撮っています。アジェは逆に古いパリのイメージを写真に凝縮していった」

「そうすると、ぼくも下町をずっと撮ってきたとはいえ、下町、下町っていうわけにはいかない。都市の移り変わり、都市の変容をみたいなものに、やはり、立ち会わざるを得ないわけですよ」

 大西さんはスナップショットで、都市・東京を素直に撮っていこうと決めた。

 ただ、それは「それまでの下町歩きとはちょっと違っていた」と言う。

「深川や上野、浅草も生活圏のように歩いていたんだけれど、そこからポーンと、池袋に行ってみよう、とか。デモをやっているから芝公園に行って、デモに参加しつつ撮ってみようか、とか」

「いつもとはちょっと違うエリアで、縦位置で、カラーリバーサルフィルムで。そういう組み合わせで撮ったんです」

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