写真家・山下大祐 ぼくはこんな思いで鉄道写真を撮ってきた (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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写真家・山下大祐 ぼくはこんな思いで鉄道写真を撮ってきた

撮影:山下大祐

撮影:山下大祐

写真家・山下大祐さんの作品展「描く鉄道。」が2月4日から東京・新宿のオリンパスギャラリー東京で開催される。山下さんに聞いた。
(※名前の「祐」は旧字体。「示」に「右」)

【写真】山下さんの鉄道写真の世界

「描く鉄道」というのは、山下さんがオリンパスOM-Dシリーズのプロモーションの仕事でよく使ってきたキーフレーズだそうで、それは「写真を描くように撮るような感覚。頭の中で絵を組み立てて、それをカメラの機能をあれこれ駆使して撮る」。

 ただし、今回の展示作品はそれに寄せたものというより、「ぼくがこれまで撮ってきた鉄道に対する思いを伝える象徴的な作品を選んでいます」。

 ちなみに、「モーニング娘。」のように「描く鉄道。」と、末尾に句点(「まる」)をつけたのは、今回の写真展でひと区切りつけたいという気持ちの表れという。

 山下さんはこれまで撮り続けてきた作品を、こう振り返る。

「幾何学的なものを撮っているんだけど、それとは違うものが写真のどこかに入ってくる。それが、すごく気持ちいいんだろうな、と。そういう魅力に引かれて鉄道を撮ってきた」

「要するに、同じ形のものがばーっと連なって、同じように動いていく美しさ。そこに人のぬくもりや自然が重なってくる」

 もちろん、同様な思いで鉄道写真を撮っている人は大勢いる。「みなさん、『鉄道といい風景』というのは、たくさん撮られていると思うんです」。それを承知したうえで、「自分はこういう目線で鉄道を撮っている」ことを伝えたいと言う。展示作品は50点弱。代表的な作品を見せてもらった。
撮影:山下大祐

撮影:山下大祐

機械的な造形と人間模様

 山下さんは先頭車両のアップをよく撮るそうだが、なかでも「お気に入りの写真」というのが、西武鉄道の特急「Laview(ラビュー)」。「UFOみたいな、不思議な形をした電車なんです」。

「電車」というより、「宇宙船」のコックピットのような印象。丸みをおびた銀色の車体。ドーム型の運転席の窓ガラス。側面のシャープな正方形の窓。それらを青空をバックに写し出している。周辺にあるごちゃごちゃしたもの――車両の配管や台車、電線、地面などはいっさい省き、造形的にフレーミングしている。

 撮影地は西武秩父駅の近くで、「出発してそれほど速度が上がらないところで撮っています。帽子をかぶった運転手さんのシルエットが機械的な造形の中でアクセントになりました」。

 それに連なる中間車両の写真には、窓の内側に見える人間模様が影絵の紙芝居のように写っている。

「いい光線のときに撮ったな、とつくづく思うんですけれど、手前の座席のカーテンを引っ張る手に光が当たって、肌の色が見えている。光が当たっていない奥のシルエットの人のポーズもばっちりだった」

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