デジタルの時代に足りなかった「何か」を秘めている単焦点レンズ (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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デジタルの時代に足りなかった「何か」を秘めている単焦点レンズ

【レンズレビュー】シグマ「I」シリーズ

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary・f2.2

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary・f2.2

今のデジタルカメラの在り方に少し疑問を感じている写真愛好家は多いのではないか……。非常に精度の高い最新テクノロジー、そしてそれを後押しするような光学性能を有したレンズ群。それは紛れもなく、技術の進歩だし、それを必要とする人も「一部」いるのだということは明白だ。しかし、そこにすべてが向かっていく必要があるのか、そういうことを問いかけてくれるレンズがシグマの「I」シリーズだ。

【写真】シグマ「I」シリーズの作例をすべて見る

 このレンズ群のコンセプトは、まさしく「NEW OLD(ニューオールド)」だろう。3本のレンズを数か月使って感じたのは、そういう世界観だ。譲れない部分に関してはしっかりと「いま」を感じる光学性能を発揮。でもやりすぎることはなく、日常での使用を前提とした「余裕」を感じる。開放値も無理にf1.8やf1.4にせず、常用として使えるもっともおいしいf値を選択し、小型化を実現。フルサイズセンサー対応のレンズとしてはかなり小型な方に分類される。これだけ小型なら、Panasonic LUMIX S5との組み合わせでも十分に「お散歩カメラ」としても使える大きさだ。
Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary・f2

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary・f2

 昨今では「小型」という言葉を使うとどうしても「軽量」という言葉で結びたくなる……。しかし、決して「軽量」ではない。そのことを十二分にフォローできる「質感」という満足度を手に入れたレンズなのだ。小型だけど、軽量化の追求するあまりチープには造りたくない……。そんな現場の声が聞こえてくるようだ。ミラーレスカメラが主戦場に上がりだしたときから、小型かつ軽量であることを訴求するあまり、大事な「コト」を見失ってしまったのではと感じることがあった。そんな違和感を解消してくれるレンズが筆者にとっての「I」なのだ。
Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 24mm F3.5 DG DN |Contemporary・f5.6

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 24mm F3.5 DG DN |Contemporary・f5.6

 レンズの筐体には「全金属」を使用しているため、持つと少しひんやりとする。それこそが質感であり、決してネガティブなものではない。デジタル化されたことで、失ってしまったものは「こういうこと」なんだろう。カメラとレンズは今では高級品だ。こんな時代だからこそ、それはもっと急速にそういう方向になっていく。

 だからこそ、高級品としての品格と質感をカメラやレンズに求めることが、商品価値を上げていくことになる。価値が上がれば、人は「わたしは欲しい」という思考が働く。ポイントは「わたし」なのだ。みんながほしいものであれば、みんなが望むところを改良して満たしていけばいい。しかし、そうではないカメラやレンズは必ずしもそこを目指す必要があるのか……。シグマの「I」シリーズはその隙間を見事に突いている。だからこそ筆者は欲しいし、所有し続けたいと感じた。

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