写真家親子2代が捉えた フィリピン・カオハガン島をめぐる「二つのキセキ」 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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写真家親子2代が捉えた フィリピン・カオハガン島をめぐる「二つのキセキ」

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撮影当初の頃のカオハガン島。木々もまばらだった(撮影:熊切圭介)

撮影当初の頃のカオハガン島。木々もまばらだった(撮影:熊切圭介)

写真家の熊切圭介さん・熊切大輔さんによる写真展「カオハガン島 天使の小径の写真展」がオリンパスギャラリー東京で10月23日から開催される。SDGs的な変化を遂げた南洋の小島と、そこに暮らす人々の姿を追いかけた約20年の貴重な記録。熊切大輔さんに話を聞いた。

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 フィリピン・セブ島の東部沖に広がるオランゴ環礁。その中にヤシの木が茂る、東京ドーム1個分の小さな島がある。カオハガン島――1987年に元出版社社長の崎山克彦さんが購入し、その後、自身が著書『何もなくて豊かな島』で紹介したことで話題になった島である。

 約30年前はインフラが乏しく、近隣の島々との物々交換で経済が回っていたというカオハガン島。大手資本が続々と世界中の孤島にリゾートホテルを建築するなか、移住した崎山さんは教育機関や医療体制、持続可能な漁業の育成などのインフラ整備に乗り出す。ともに移住した妻も日本でキルト制作を教えていた経験を活かし、カオハガンキルトと呼ばれる「名産品」を生み出して島の貴重な収入源に育て上げた。今で言うSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)を目指してきたといったところだろう。こうした島の生活に触れる、セブ島からの日帰りツアーも人気になり、30年前に350人ほどだった島の人口は700人近くに増えたという。
陽気な島の人々、海の文化(撮影:熊切圭介)

陽気な島の人々、海の文化(撮影:熊切圭介)

 この島の「軌跡」をカメラで記録してきたのが、写真家の熊切圭介さんだ。1991年頃から約20年間、カオハガン島に通い、島の子どもたちの成長や、人々の暮らしぶりを丹念にフィルムに収めてきた。撮りためた記録は写真展や写真集を通じて、これまで日本国内でもたびたび紹介された。

 だが、この貴重な記録をまだ目にしていない人たちがいた。被写体となった、島の人々である。

「島の人たちにも島の歴史をちゃんと見せてあげたいということで、2014年にカオハガン島で写真展を開くことになったんです」

 こう話すのは、熊切圭介さんの息子で写真家の熊切大輔さんだ。

「といっても、島には写真展に適した場所がありません。そこで注目したのは『天使の小径』と呼ばれる島の小学校の通学路。木々にロープを張り、パウチ(ラミネート加工)したプリント写真約90枚を展示していったんです」

 何しろ写真そのものが珍しい島のことである。島の人たちは自身の幼少期や若いころの写真を見て大いに盛り上がった。“青空写真展”は大盛況のうちに閉幕したという。

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